第63回

新人コミック大賞 発表

青年部門


入選

『死神のわけまえ』荒井ママレ(27歳・埼玉県)

この作品を読む

■池上遼一先生
両親を事故で失った双子――。その二人の孤独を奇抜な設定でありながら、存在感のあるしみじみとしたドラマとして描いており、片方の弟を登場させない演出に作者の才能を感じた。
■江川達也先生
すごくオリジナリティを感じた。設定もキャラクターも雰囲気も感情表現も、独特の持ち味がある。フツーのラブコメを描いても、変わった持ち味が出るような気がする。
■中原裕先生
設定は面白いのに、意外と何もないまま終わってしまったなって印象です。絵は上手いし、演出のさりげなさもいい感じ。それだけにちょっと残念。
■原秀則先生
女の子がかわいい。もう少し描き慣れてくれば、グンと伸びると思う。導入は上手だが、その後がダラダラしてしまった。ラストの盛り上げ方もイマイチ。コマ割りが大人しすぎる。静かな話には、インパクトのあるコマを使うといい。
■山田貴敏先生
姉弟愛というか、兄妹愛というか双子愛!? まひるだけに焦点を当てて描いたのは正解。オチは甘いけど、読後感は良い。

入選

『ミル』手原和憲(25歳・神奈川県)

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■池上遼一先生
発想に新鮮な面白さがあり、魅力的なキャラクターとして描かれている。ギャグのセンスも心地よく、全体にほのぼのとした優しさが感じられる作品だ。
■江川達也先生
単純に楽しめた。ネコに女子高生に九州の方言におばあさんのような包容力… 面白い要素がてんこ盛りだ。絵が拙いのにここまで読ませるのは、作者のネーム力とネコ好きのたまものであろう。この設定で続きが読みたくなった。
■中原裕先生
微笑ましい話で、化けネコも可愛いんだから年齢は出さなくて良かったかも… 何かずっと違和感を感じてしまいました。ラストの絵、いい感じです。でも「ご老公自由過ぎます」が一番笑ってしまった。
■原秀則先生
早めに女の子の正体をバラしたために、その後のハラハラ感がなくなってダラダラしてしまった感じ… 感情、表情の描き方は上手。女の子もかわいいよ。
■山田貴敏先生
夢ですね。ネコ好きなぼくのところにも、猫が5匹いますが、どのネコも女子高生にはなってくれません。うらやましい… 作品に関して言えば、この手の話は良くあるのも確か。でも読後感は悪くない。

佳作

『感情の先』小野伸明(31歳・滋賀県)

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■池上遼一先生
読者を感動させるためのドラマ構成に才能を感じる。意外性のある展開を、抵抗なく納得させてしまう。このスキルは漫画にとって大切なことだと思う。
■江川達也先生
生きてると思って甘えていた相手が、もうすでに死んでいた。王道とも言うべきストーリーは十分に泣ける。ただキャラクターは生きてないと感動も少ない。その点、キャラクターがわかりやすく、感情的な登場人物がよく描けている。この作品は充分、感動的に仕上がっている。
■中原裕先生
泣けるいい話になりそうなのに、残念な感じです。最初にもっと彼女との生活を描いた方がラストの衝撃も伝わったと思います。
■原秀則先生
明るくて好感の持てる絵、表情も上手。女の子もかわいい。しかしページ多すぎ! 前半が長すぎる! 構成力はあるから、もう少しコンパクトにまとめられると思う。そのほうがラストが効いてくる。
■山田貴敏先生
切ない物語ですね。確かに失って初めて知る愛情、自分の愚かさ。人間って弱いですからねえ。身につまされました。よくできていると思います。ただ構成を考えると、少しページが多い気がします。

佳作

『P・M・C』つかさつよし(38歳・神奈川県)

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■池上遼一先生
重いテーマに果敢に挑戦している労作だと思う。中東各地の紛争が抱える人間性喪失と不条理を、傭兵の視点でクールに描いている。その客観的な演出は、終結の予測不能なテーマにふさわしい。
■江川達也先生
民間軍事会社と傭兵を扱った意欲作だが、わかりにくさがつきまとう。ネタ的に仕方ないのだろう。人物の描き分けが難しいのかも知れない。傭兵のキャラクターはだいたい同じになっていくことを表現したいのだろうから、キャラクターの描き分けは難しいが、もっと差をつけると読みやすい。
■中原裕先生
どのキャラにも感情移入できませんでした。絵は上手いのだから、もっと魅力あるキャラを見てみたいです。
■原秀則先生
絵は抜群、欲を言えばあと一歩丁寧に描いてもいいかな。グイグイ引き込む構成力はあるが、主人公が誰なのかわかりにくかったため、ラストの盛り上がりがイマイチだった… 残念。
■山田貴敏先生
紛争、戦争によって失われていく人間性が実にリアルに描かれていく。相当調べられたのでしょう。少し情報過多なところはありますが、情報に振り回されることなく、作者の意図が明確に伝わってきます。考えさせられる作品。

佳作

『ロボット先生マクロ』根田啓史(25歳・東京都)

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■池上遼一先生
しっかりした世界観に裏打ちされたキャラクター設定が魅力的だ。絵も上手く、アクションをまじえた構成による論理の展開にも、小気味よさが感じられる。
■江川達也先生
ロボット先生。ストレートなことをマジメに言って説教できるのは、ロボットしかいなくなってしまったという現代的な視点が良い。情けないスタイルのロボット先生が畑を耕している絵が、なんともフザケていて良い。マジメな作者のフザケた演出に今後も期待しよう。
■中原裕先生
言いたいことは分かるし、描き込みの一生懸命さは伝わってきます。ただもう少しこの世界の説明があっていいのでは。女の子とロボット先生にもう少し何かがほしかった。
■原秀則先生
この作品に関しては、とにかく絵だ! 描きたい話に絵が追いついてない。コマ割りも見せ方も悪くないんだけど… 主役のロボットをもっと描けないとキツイ。
■山田貴敏先生
真正面から反戦をテーマにした作品は、得てして説教くさくなるものですが、最後まで心地よく面白く読めました。マクロのキャラがいい。このキャラを創り出したことで、作品の価値が決まったと言ってもいい。画力はまだ不足していると思いますが、描いていくうちに上手くなります。次回作、期待しています。