第64回

新人コミック大賞 発表

青年部門


大賞

『No Name』大島千春(19歳・大阪府)

この作品を読む

■池上遼一先生
恋愛のもたらす複雑な感情を、若い女性作家らしく正義にとらえ、瑞々しいタッチで表現している。普遍的なテーマでありながら清新な感動を覚えた。凄い才能だと思う。
■江川達也先生
何だか自分の投稿時代を思い出させるホロっとした話だ。こういう作者の等身大の体験話は強い共感と感情を生む(何気ない話を描いていながらなのに)。もしこの体験的話をこれからも作っていくのなら、作者は色んな体験をしていかなくてはならない。内向きの漫画づくりと外向きの体験との両立を心がける必要があるだろう。
■中原裕先生
ホロ苦くせつない複雑な感情が、うまく描けていると思います。憧れの先生が、ただの男と分かってしまうところなど印象的。ただ主人公と友人、主人公と先生の関係、距離感が分かりづらかったかな?
■原秀則先生
いいよ…ウン、いい!特に42ページからと49ページからのシーンは唸った!気持ちがすごくよく描けてる。胸がキュンとなってしまった(泣)ラストもうまくまとめた!よくやった!
■山田貴敏先生
大津先生への気持ちは丁寧に描かれていて良かった。ヒロインの気持ちもリアルに伝わる。ただ、小春の良き理解者であるアキが小春の気持ちに気がつかなかったのか?周りのドンカンさが、少し気になる。ページも多い。

入選

『雪と花』門脇由(23歳・鳥取県)

この作品を読む

■池上遼一先生
物語のオーソドックスな展開というものは、やはり読ませる力がある。さらに登場人物のかもしだす素朴な雰囲気気がいい。日本人の失われた何かを思い起こさせる。
■江川達也先生
充分に読み応えのある作品だ。空気感も話とあっていて、演出もかなり高度だ。言うことがない。あえて言うとしたら…ハナのエピソードをもう一つ増やすことと、「同じ世界なのにね」の見開きに続く、涙のコマの前に4コマぐらい入れるかな…オレなら、と思ったぐらいです。
■中原裕先生
読み応えあって引き込まれてしまう作品です。それだけに、まだこれからって終わり方残念。この先が見たいです。かっこいい。
■原秀則先生
導入部分がうまい。主人公の妹へのやさしさは伝わってくるが、自身が将棋をする理由がもっと見たかった。絵はどこかで見た感じがする。もっと個性が出てくればいいのだが…
■山田貴敏先生
絵柄の好き嫌いは別れると思うが、兄妹愛は上手く描けている。なんといっても将棋がわからなくても、緊張感が伝わってくる。大切な要素だと思う。良い作品。

入選

『リンネバン』鈴木智(24歳・愛知県)

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■池上遼一先生
味わい深く考えさせられる作品だ。絵も上手く、場面の雰囲気が丁寧に描かれており、説得力のあるセリフが生きている。
■江川達也先生
仏教的な世界を真摯に描き作者自らが読者に問いかける姿は、新人にして度胸のいるところである。作者のぶれない本気感が、読み手に伝わるところ大になっている。この人の他のジャンルの作品は読みたくない。この方向で、どんどん作品を描いてほしい。
■中原裕先生
迫力ある絵で良いですね。主人公が何者なのかが分からなかったのが、引っかかりました。生き返った父親が見たかった気がします。このストーリーテーラーって!?
■原秀則先生
構成はまずまず…ラストはもう少し盛り上げられたのでは?ひとり言(?)のシーンはなくても良かったのでは?ベタの使い方が上手。いらない線を整理すれば、もっと人物が生きてくる。
■山田貴敏先生
不条理に思える死に光を当てて救いを与える。とっつきにくい部分もあるが、自分を語り部として読ませようとした努力は買います。何となく納得させられてしまった。読後感は悪くない。

入選

『生駒さんちのコマ遊び』茂木清香
(22歳・埼玉県)

この作品を読む

■池上遼一先生
テーマの伝達手段に、今まで見たことのない創意があり、作者のシニカルな意見が分かりやすく伝わってくる。並々ならぬ才能を感じる。
■江川達也先生
新しい表現方法にチャレンジしている姿に好感が持てる。しかも同じ背景をコピーを使わず全部描いているのがすごい。平和な日常と弱肉強食の日常を対比して、提示してくるところに作者の作家性を感じる。将来が楽しみな人だ。しかし商業誌でどうやって生き抜くか、葛藤することもあるだろう。くじけないで頑張ってください。
■中原裕先生
扉の絵と、本編との主人公一家のウラオモテの方が気になってしまいました。もっと短くまとめても良かったと思います。
■原秀則先生
セリフが良い、テンポも良い。家庭とシリアスのギャップで笑わせたいのだろうが、それにはあと一歩、絵の努力が必要か…な。ただ間違いなく絵は上手くなる!いっぱい描け!死ぬ気で描け!
■山田貴敏先生
作者の遊び心が実に良い。最初は舞台劇を思わせ、同時に複数の話が進んでいくのだが、ともすれば読みにくくなってしまう展開をうまくからめて、読みやすく面白くしている。ブラックな部分をおりこんでのオチが、重いだけでなくこうくるかと唸らせるだけの才能もある。

佳作

『立ち往生刑事』高橋聖一(32歳・埼玉県)

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■池上遼一先生
キャラが立っているとは、こういう作品のことを言うのだろう。明るく天真爛漫でお色気たっぷりのヒロインの活躍は、理屈抜きで楽しく面白い。
■江川達也先生
主人公のキャラクターがいい。そのまますっと入っていけた。たぶん目的がはっきりしているからだろう。かつ欲望に忠実だ。しかも頭が良くない。漫画にピッタリのキャラクターだ。郵便ポストにお金を入れるところのコマを大きく描いておけば、もっと最後のオチがきいてきただろう。
■中原裕先生
いいのか、そんなオチで!?って思っちゃいました。絵もうまいしキャラも熱いし、どんな展開になるのか期待したので、ちょっと残念でした。
■原秀則先生
勢いのあるセリフでぐいぐい読ませる。ラストまでテンションが下がらなかったのも立派!このページ数でまとめたのも立派!線がシッカリしてくれば、もっとデフォルメが生きてくる。
■山田貴敏先生
正義感から警官になったわけじゃなかったけど、最後はやっぱりお金が…何となく読めたけど、かなり作者にとって都合の良い話だね。わかりやすいのは確かだけど。

佳作

『出現!モグラッタ星人の息子』新井智樹
(26歳・埼玉県)

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■池上遼一先生
発想の奇抜さにもかかわらず、妙な現実感があり笑える。描き方によってシリアスな問題を笑いに転じることの出来る良い例だと思う。
■江川達也先生
くだらない。そのくだらなさが最高に面白い。エロとギャグという最高の武器(商業的に)をしっかり身につけている。絵はまだ拙いが、魅力的な絵が描けている。テンポも良く楽しく読める。荒削りなところをいつまでも持ち続けていてほしい人です。
■中原裕先生
いきなりパンツも、主人公がモグラっていうのもバカバカしくて笑えました。ラスト、主人公が救われるシーンをもっと感動的に描ければ、オチが効いたと思います。
■原秀則先生
爆笑〜〜!!セリフ、テンポ、コマ割りすべて良し!ただし途中から明らかにパワーダウン(どうした?)絵は明るく、いい雰囲気を持っている(これ大事)。
■山田貴敏先生
ひと事で言えばバカバカしい。バカバカしい話を正面から描く勇気は認めえるが、話の展開が安易で回想だか妄想だか区別のつかない構成と、オチらしいオチもないとなっては評価のしようがない。

佳作

『DOG BOY』左将人(23歳・東京都)

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■池上遼一先生
心理描写に無理がなく、日常が自然のまま描けている。そこには、隅々にまで計算された作者のリアリズムに対する姿勢が感じられる。また、絵に独特のセンスがあり将来を期待したい。
■江川達也先生
絵がいい、上手いし魅力的だ。センスがある。絵を描いてて楽しいだろう。話も面白いのだが、最後のオチがはっきりとわからないところが気になった。この形で落とすなら、前半から何らかのはっきりした提示をして、最後のこのコマを見て前半を思いだして“なるほど”と思えるようにした方が良いのでは?
■中原裕先生
子供の成長と犬の霊が取り憑いているっていうのを、重ねて見せていくのが面白かったです。絵もうまい。ラストがちょっとわかりませんでした。
■原秀則先生
これ…完結してるの?尻切れでは…?犬になってから何か起きるのかと思ったが…特別何もなかったなあ…残念。絵はいいモノを持ってる。人物の線は、も少ししっかりさせよう。
■山田貴敏先生
絵は味があって上手いと思うんだけど、ごめんなさい。意味がよくわからなかった。リアルな部分との境目がわかりにくい。