第78回

新人コミック大賞 発表

青年部門


入選

『雲がちぎれるとき』清家孝春(23歳・大阪府)

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■花沢健吾先生
3人の関係性をもう少し描いてから、物語を動かせば更に感情移入できた。女性キャラに魅力を感じるので磨いて欲しい。
■太田垣康男先生
今回の応募作の中では一番「いい男といい女」が描けていた作品。いわしげ孝先生の名作「ぼっけもん」第1話「忘れ雪」を彷彿とさせる豊かな情感に胸を打たれた。素晴らしい才能だと思う。
■浅野いにお先生
暑苦しい絵柄とキャラが独特な雰囲気を作り出していて面白かったです。30ページ近くある中、ほぼ屋上の会話のワンシーンで1話押し通す力技でしたが、緊張感が途切れることもなく実力を感じました。このまま訳のわからない熱量のまま描き続けてください。
■石塚真一先生
分かりやすい作品です。分かりやすい話を分かりやすく描くことはとても大切だと思います。「この絵を描くんだ」という意気込みもきちんと伝わってきました。「想いの強さ」のある作品は読みやすくて好きです。
■業田良家先生
作者の情念を感じさせるペンタッチと絵柄は好きだ。女性も表情がエロチックでよい。主人公のクライマックスでのセリフも悪くない。ただ、主人公にはもっとびっくりするような行動を取らせてほしい。読者が思いもつかない行為で感動させてほしい。もっとねばって考え抜けばこの作者ならアイディアを出せると思う。

佳作

『私はかつてそう呼ばれていた』

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■花沢健吾先生
名前をふせて始まるので、最後までそれで引っぱるのだろうと予測して、その通りだった。最初、性同一性障害の主人公が偏見と戦う話かと勘違いした。モノローグの使い方がプラスに働いてないと思った。小さいことだが43 ページの2コマ目アパートの階段が多すぎる。小さな違和感の積み重ねが作品への興味を失うことになる。
■太田垣康男先生
感情の昴まりを表現する絵と言葉の強さ、青年のナルシズムを肯定的に描く筆致には光るモノがある。だが、描いている内容が少々幼く、自分がフラれた理由も「独り合点」では読む側としては疑問が残る。
■浅野いにお先生
体温や重さを感じる人物絵が魅力的です。ただ、おそらくそういう演出なのでしょうが、モノローグの文体が独特で量も多いので冗長に感じました。モノローグで観せたいならば分量を調整し、説明文になりすぎないように気をつけましょう。本来シンプルなはずの物語が演出上複雑になってしまった感があるので、今後は策に溺れず、アイデアを必要最小限に削ぎ落としシンプルにすることで、魅力的なキャラが映えるようにして欲しいです。直球でもキャラが可愛いから大丈夫なはずです。
■石塚真一先生
みずみずしく、若々しい、ステキな短編映画のような作品です。リアルな感情表現は作者の日々の経験の賜物だと思います。絵ではなく「人間」が描かれていると感じました。素晴らしい!! 次作が楽しみです。
■業田良家先生
絵は魅力的で十分に巧い。ペンタッチに作者の情熱も感じる。恋の悩みも青春の苦悩も伝わる。ただオチが弱い。「×××ちゃん」が謎としてストーリーの核をなすのだが、「蕾桜」と「蕾」をかけるだけでは肩すかしだ。最初に謎を提示したからには最後には必ず見事に解決してほしい。読者はその謎の答えを知りたいから読み進めるのです。

佳作

『隨輝く』タナカオル(35歳・東京都)

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■花沢健吾先生
絵は良い。3人の複雑な関係性をサラっと描いているのでもう少しそっちに比重を置いてもいいような気がする。僕は3人のエロい関係性をもっと読みたかった。
■太田垣康男先生
自分の絵柄に合った題材を選ぶ、このスタート地点を間違えた感がある。描きたい方向は分かるが表現力が追い付かず、下品に見える場面が散見されたのは残念。
■浅野いにお先生
キャラにリアリティがなく、物語の構成も散漫なのでなかなか物語に入っていけませんでした。絵に関してはある程度の経験があるように見えますが、決して強みになるような絵柄ではないと思うので、自分の個性はどこにあるのかをもっと強調してください。
■石塚真一先生
どこに物語が運ばれていくのか、ドキドキしました。読み切りの場合、どの絵が「最も描きたい絵」かを意識しながら描くのも良いかもしれません。
■業田良家先生
親子がからんだ男女の三角関係は特殊なので、その心理がちゃんと伝われば面白いものになると思うのだが、私にはよく分からなかった。描線も綺麗だし、女の子の描き方もかわいくて巧い。

佳作

『Bombとヒールとランドセル』

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■花沢健吾先生
絵は良い。特に体の描き方がバランス良い。そのかわり顔の魅力が乏しい。特に主人公の顔はもう少し工夫が欲しかった。地球を破壊しなかった理由にも、ハッとする理由が欲しかった。
■太田垣康男先生
脱力感は十分に出ているが、キャラクターの表情に幅がなく微妙な空気を表現しきれなかったのは勿体ない。
■浅野いにお先生
お姉さんが可愛かった以外、あまりに特徴がない作品です。ギャグ漫画として見ても練りが足りない印象です。もっとページ数は少なくてもいいので内容を濃くしてください。
■石塚真一先生
「変」ていいですね。心に残る笑いとでも言えばいいのか、作者の思考、絵柄、展開が天才的にマッチングしています。「物語の自由さ」を教えられた気がしました。あー面白かった。
■業田良家先生
就活女子が針と糸でつながれていく喩えは痛みが伝わってきて巧い。しかしストーリーが3人の会話だけで進んでいくので面白くならない。登場人物が実際に爆弾を持っていたり、傘を持っていたり、体に針と糸が刺さっていたりと具体的に絵で楽しませてほしい。小説ではないので会話だけではなく登場人物は必ず何かの行為や行動を取るべきです。

佳作

『踏み切りの少女』山崎寛(28歳・愛知県)

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■花沢健吾先生
どーしてもメガネが気になる。メガネの描き方にこだわるべきだ。カワイイ女の子が描ければそれだけでメシが喰える世界でもあるので極めて欲しい。物語はよくある話なのでもうひとひねり欲しい。
■太田垣康男先生
キャラクター設定の段階で2人の少女をもっと対照的な造形にすべきだったと思われる。主観が途中で入れ替わるのは読者が物語について来られなくなる原因なので気を付けよう。
■浅野いにお先生
話の筋も訴えたいテーマも理解できるし、雰囲気も嫌いじゃないはずなのですが、いまいち乗り切れないのは絵の雑さにあると思います。コマ割りや構図も改良の余地はあるはずなので今後はもっと細部にまで気を使って描いてください。あと好みの問題かもしれませんが、1話の中に主観を二つ入れたり、死人に語らせたりすると、あまりに描き手が神目線過ぎると感じてしまうので、そこも考慮していただければと。
■石塚真一先生
練られた展開の作品です。それぞれのキャラクターの違う面をもう少しきわ立たせたら、感情面でもう一段ふみ込んだ話にできたかもとは思いました。
■業田良家先生
一読するとどうしてもアニメ映画「時をかける少女」や「魔法少女まどか☆マギカ」を連想してしまう。他の作品に影響を受けるのは構わないが、誰も考えたことがないまったく新しいアイディアをひとつでもつけ加えないといけない。