95回募集中!2024年915日(日)しめきり

これまでの受賞者

これまでの受賞者一覧

第84回発表

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大賞

賞状・記念盾・賞金200万円・液晶タブレット(Cintiq 13HD)CLIP STUDIO PAINT EX・受賞作収録本

青年部門

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「Ms.NOBOTAN」赤井千歳(25歳・神奈川県)

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■花沢健吾先生
ストーリーと作画のクオリティが今回一番高かった。キャラクターも嫌味がなく多くの読者にも好かれそう。ただバランスが良過ぎて、欲を言えば何か突き抜けるモノがあると尚良い。ここがプロになれるかどうかの別れ道かもしれない。

■太田垣康男先生
説明が長く語り部の視点がコロコロ変わる下手な前半に「これはダメかも」と思っていたが、若い男性店員が登場してから物語が突然面白くなった。キャラの演技も演出も決めコマも小道具の使い方まで冴え渡り、前半とは別の漫画のような完成度。扉絵も含め前半の構成を練り直せば素晴らしい短編になると思う。

■浅野いにお先生
非常に完成度が高いです。画力、構成力、キャラクター、どれをとっても十分プロレベルです。物語の流れはオーソドックスですが、今までありそうでなかった設定を違和感なく、最近の世相も相まってむしろ実際にあるのではと思える説得力を持って最後まで描ききっていたことも素晴らしいと思います。主人公の心情も丁寧に説明されているので、ラストにかけての葛藤、決断ともに納得ができます。かつ読後感も気持ちがよく、良い落とし所を見つけられていると思います。完成度が高いため、作家性というものが見えなくなっていますがそれはトレードオフなので仕方ないです。とはいえもう少し作者ご本人のアクを出しても問題ないかと思います。今後、長尺の連載を持った場合はまた課題も変わってくるとは思いますが、確かな実力を感じるので頑張っていただきたいです。

■石塚真一先生
絵、ストーリー共に技術の高い作品です。分かりやすく、読みやすい。キャラクターの外見と内面の描き分けも群を抜いて上手い。才能ある作者なので、もっともっと“自由”な作品を読んでみたいと思います。

■業田良家先生
ビジネスオネエのアイデアが素晴らしい、と思ってググったら実際にあるんですね(笑)。続きが何話でも描けそうな設定になっている点も良い。ただ主人公の顔が老けて見え、少し魅力に欠ける。主人公らしい顔に仕上げてほしかった。

入選

賞状・記念盾・賞金50万円・ペンタブレット・CLIP STUDIO PAINT PRO・受賞作収録本

児童部門

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「スーパーバトラーシツジくん」のだみさき(28歳・岐阜県)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
お話は、よくまとまっています。キャラがきちんと立っていて最後までブレずに動いているので、安心して読むことができました。絵は練習し、もっとペンに慣れましょう。

■沢田ユキオ先生
話が面白くキャラもよく描けているので、気持ちがよく伝わり心地よい読後感を味わえました。ただ、技術不足のため面白さが十分活かされていないのは、もったいない。

■のむらしんぼ先生
物語としての構成がよく、しっかりまとめられています。台詞も簡潔で読みやすい。柔らかい嫌味のない絵柄も好印象。兎にも角にも、ラストまで面白く読めた作品です。

■むぎわらしんたろう先生
絵は荒いですが、一生懸命描いている感じは、伝わってきます。シツジくんと少女のエピソードが、あまりにも多いので、大切な場面の印象が薄くなってしまっています。

少年部門

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「Halation Temple」小松翔太(27歳・東京都)特別育成金 100万円

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■あだち充先生
この下ネタ漫画の才能をちゃんとした漫画(?)でどれだけ生かせるか楽しみでもあり、心配でもあり…

■高橋留美子先生
こういう不条理な話は個人的に好きです。今後もこんな感じでいくのなら読者を飽きさせない細かいアイデアをたくさん考えてください。

■青山剛昌先生
すげーー面白かった。普通にこの話の続きが読みたい(笑)。なにしろ主人公のキャラがとてもいい! テンポも軽快だし絵も上手くてオチもGOOD ! 早く連載してください(笑)。

■畑健二郎先生
面白かったのですが、一撃必殺の下ネタで次に何を描くべきかは悩むところ。キャラクターで魅せていくタイプのギャグではなくストロングスタイルのギャグなのでこのレベルでどれだけ数をかけるかが勝負です。

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「代行者(パシリ)達のファンファーレ」彌(わたり)(21歳・神奈川県)

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■あだち充先生
絵の粗さと背景の少なさが気になりますが、この人には細かい事を気にせずにこのまま突っ走ってもらいたい気がします。

■高橋留美子先生
迫力とスピード感はあります。オチは結構好きです。しかし、特殊な設定にキャラクターがついて行ってない感じが惜しいです。別のテーマの作品も見てみたいです。

■青山剛昌先生
すっげーー面白かった! 設定も斬新だし、主人公とヒロインのキャラがとてもいい!! 絵も見やすくてセリフもスルスル流れていく! アニメの『キルラキル』みたい(笑)。で、いつから連載はじめるの(笑) ?

■畑健二郎先生
勢いのある画面作りや、バカバカしい設定を大真面目にやる点は好感を持ちました。ただ、お話を読んでもらうためにはもう一つ、工夫が必要。キャラ本来の魅力であったり、物語の本質的な面白さであったり。

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「もやもや」ちゃんやつ(26歳・東京都)

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■あだち充先生
画力の安定感は抜群ですが少年漫画としてどうなのか?主人公はオッサンくさいし、話も… タイトル通り「もやもや」します。

■高橋留美子先生
ネタはヤング誌向きかなと。話の質から元気さを感じられないのは仕方ないのですが、少年漫画なのか?と疑問に思います。絵はこなれていて見やすいです。

■青山剛昌先生
とても面白かった。話の流れに独特の間があってセリフのセンスというか歯切れがとてもよく読みやすかった。ただコマ割りが読みづらい所や、状況説明がちゃんと出来ていないシーンあったので、そこを直せば完璧かも。

■畑健二郎先生
よく描けているとは思いました。お話自体は小さいものの、キャラクターの立て方、見やすい画面などかなり技術力を感じられます。やや古臭さい描写が各所に見られるので、控えたほうがいいかなとは思います。

青年部門

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「悪者のすべて」岩田ユキ(46歳・東京都)

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■花沢健吾先生
非常にこなれた絵柄とストーリー作り。安心して読めましたが、欲を言えばもう一捻りあると記憶に残る作品になった。プロになる差は僅かですがそこを研さんできるかです。次回作を楽しみにしています。

■太田垣康男先生
39 ページまで面白く読めた。が、ラストのオチで全てが台無しに。主人公は結局のところ親友すら妬み、自らの羞恥心を捨てられずに死を選んでしまった。何とも後味が悪い。

■浅野いにお先生
作者の余裕を感じる作品でした。絵的に読みやすく、全体の構成も整然と淡々と終わります。悲劇的なシーンも悲壮感を出さないようコミカルに描いてしまう計算高さも感じました。しかしどこか物足りなさを感じるのは、主人公は基本的にすべて受け身で、最初から最後まで自身のルッキズムに囚われたまま。根本的な部分で全く成長しなかったことが原因かと思われます。せっかくはじめて築けた友情を、結局自分で否定しているので物語として成立していません。その「物語の否定」自体を面白さとして描きたかったのであれば、ラスト数ページ追加して、もうひとつどんでん返し、もしくは踏み込んだ作者自身の解釈を見せてくれれば大化けしたようにも思えます。

■石塚真一先生
いい!! 自由な設定の中でとてもリアルな感情を追った力作でした。物語と絵のバランスもとても良かった。次作、楽しみです。

■業田良家先生
ラストはもうひとひねりほしかったけど、すごく好きな作品です。覆面を被せられて個性を消される方が幸せだと感じる人間もいるんだという指摘、テロを起こす人間の心情、歪んで伸びた花の描写など、心に刺さる表現がたくさんあった。描線も柔らかくて、見ていて心地良い。

佳作

賞状・記念盾・賞金30万円・ペンタブレット・受賞作収録本

児童部門

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「ヴァン×パイア」ギャル王子(27歳・東京都)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
とても達者で、実力のある作者だと思います。ネタもくだらなくて面白いのですが、大人がクスッとするようなものが多く、もう少し児童漫画を意識してほしいです。

■沢田ユキオ先生
内容は、若干上向きな気はしますが、画力も含め完成度が高く、とても面白く読めました。笑いの間もよく、それぞれのネタも笑えました。もっと作品を読んでみたい!!

■のむらしんぼ先生
面白い! ヴァンパイア家族がヴァンパイアとして、しっかり板に付いている。お話(ギャグ)の展開、コマ運びのテンポもよく、作者の漫画センスを感じます。読後感も良し。

■むぎわらしんたろう先生
吸血鬼一家のドタバタを、面白く描いてはいるのですが、同じパターンの繰り返しなので、ギャグの驚きが薄くなっていく感じがしました。絵は、読みやすいです。

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「全力だゼ!ガチおくん」とし山じゅん(19歳・東京都)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
コロコロ的な王道のギャグ漫画で、よくまとまっています。でも逆に言うと、真新しさが感じられず、主人公の圧倒的な存在感や作品の個性が伝わってこないのが残念。

■沢田ユキオ先生
作品全体に、「硬さ」を感じますが、ネタがわかりやすくて面白いです。「ガチ握手」のコマは、表情のみで笑えました。「笑わせる力」は、十分持っている方だと思います。

■のむらしんぼ先生
絵的にも、お話(ギャグ)的にも、元気があってすごくいいです。何より主人公のキャラに、有り余る勢いがあるのが素晴らしいです。ギャグ漫画として二重丸です!

■むぎわらしんたろう先生
今回の応募作中、一番コロコロっぽい作画だと感じました。勢いもあるのですが、先が読めてしまうのが残念。主人公の活躍が、もっと際立つ舞台を考えてみましょう。

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「ギョギョッとヒーロー魚(ギョ)ッピー!」築亞 亜門(きつぎ あもん)(21歳・埼玉県)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
ギャグや会話のリズム、話の展開のテンポがよいので、読みやすく最初からグングン引き込まれました。漫画表現としての笑いの取り方もできていて、感心しました。

■沢田ユキオ先生
いくつも笑える個所があり、テンポもよいので楽しく読めました。マサキと魚ッピーのやりとり、明るさがとてもいいと思います。絵は背景描写にも、もっと気配りを。

■のむらしんぼ先生
絵は線もキレイで、スッキリと見やすいです。キャラも可愛く、お話もよくまとまっています。ただ、状況がわかるように、必要な背景はしっかり描くことが大事です。

■むぎわらしんたろう先生
魚と少年のやりとりが楽しい。余計な理屈抜きで都合よく合体ヒーローが降ってくるのも、面白いです。合体してからのキャラデザインは、もう一工夫ほしかったです。

少年部門

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「魔女だって楽じゃない」伏見ダイキ(21歳・京都府)

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■あだち充先生
描き慣れた絵には安定感があり、話の展開も素直で読みやすいのですが、その分引っかかるとこがなくて読み終わった後の印象が薄い。

■高橋留美子先生
今回の中で、絵は最高に可愛らしいです。話はシンプルで良いのですが、もうひとひねり欲しい。見開きの背景がもう少し迫力があればもっと感動できたかと思います。

■青山剛昌先生
絵もカワイクて見やすいし、テンポもよくセリフも読みやすいんだけど… まぁ、思った通りの展開で意外性がちと足りなかったかな? でも漫画が上手なのでもっともっと上達すると思います!

■畑健二郎先生
山本崇一朗先生の影響を強く感じてしまいますが、その部分を差し引いても、絵も話もよくまとまっていて良かった思います。まだ若いので、もっと自分らしい表現を見つけていくのがいいかなと思います。

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「据え膳食わぬは男の意地」旗町マコ(22歳・千葉県)

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■あだち充先生
年齢と時代劇という事で加点です(笑)。それだけでなく、ふざけたネタをていねいに仕上げる腕とセンスに作家としての才能を感じます。

■高橋留美子先生
主人公とライバルの対立軸を、もっと早い段階で印象的に見せてほしかったです。細かいエピソードの積み重ねで逆にボンヤリしてしまっている印象です。ヒロイン(?)は絵的に目を引くので良いと思います。

■青山剛昌先生
なかなか風変わりな話で悪くはなかったんだけど、ダラダラ長い。24Pぐらいでまとめられると思う(笑)。あと、結局、人魚の肉を使ったかどうかわかりにくいし、勝負の結果を引っ張った効果も大してなかったように思う。

■畑健二郎先生
総合力で今回一番レベルが高かった。特にキャラの絵が丁寧で上手いだけではなく、しっかり「演技」をさせていた点はとても高評価でした。お話も終始一定以上の平和な雰囲気が維持されていて現代風だなと。

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「FLAVOR」能島翔太(25歳・大阪府)

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■あだち充先生
キャラの描き分け、アクションシーン。画力は高いです。話も展開もスムーズで新人としては高いレベルにいると思うので後は自分の売りを見つけてください。

■高橋留美子先生
絵は描きなれた感じで、描きこんである割りに見易いです。ヒロインの性格、表情はそのままで、もう少し可愛く描けませんか? 結構大切な事かと思います。

■青山剛昌先生
おしい! 絵や構図のとり方はとてもとてもセンスがよくてアクションシーンはノリノリだったんだけど、話がわかりづらい。ヒロインの髪色が真逆になっていて同一人物に見えないし…(笑)

■畑健二郎先生
伸び代を感じるいい絵だと思います。お話も少年漫画らしい熱い展開で良かったと思います。ただ、基礎的な画力に問題があり、どこで何が起こっているのか分かりづらく、細かな設定や説明描写が多かったです。

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「腹ペコ幽霊悲鳴合戦」染谷吏輝(25歳・埼玉県)

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■あだち充先生
背景や小物をごまかさずにしっかり描こうとする姿勢には好感が持てます。ヒロインの幽霊キャラの魅力不足が残念…

■高橋留美子先生
中盤の展開は、ハラハラさせてうまいと思いました。絵はちょっと重い感じがします。ヒロインの変顔はOKですが、それでも可愛く思わせる画力を磨いてください。

■青山剛昌先生
割りと面白かった! でも、コマとコマのつながりが悪く、かなり読みづらい所もあったので(妙な所にギャグが入ってると笑えないし、ノリが悪くなる)次からは気をつけよう。でも、幽霊が悲鳴を食べる設定は面白い!

■畑健二郎先生
女の子がもっと可愛いければ良かったのですが、その部分の引きがないので残念な印象。可愛さとは絵柄だけではなく、仕草であったり、言葉遣いであったり、そういう細部に可愛さは宿ると思うのです。

少女・女性部門

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「お憑かれアミーゴ!」はれのちハンドレ(23歳・千葉県)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
勢いとテンポの良さとコメディのセンスがあり楽しく読めました。人物の色んな動作を描こうとする意欲が感じられ、絵が生き生きしています。女の子の絵は可愛いですが、男の子にはもう少しかっこ良さがほしかったです。

■藤沢志月先生
人物のデッサンなど、各シーンで高い表現力が発揮されていると思いました。一方お話は少し説明不足。世界設定の詳細や、主人公が普通の生活を送りたい動機を掘り下げて入れられると、わかりやすくなると思います。

■まいた菜穂先生
ぶっ飛んでいる設定を全力でやりきっているのがすごいです。細部まで読者を楽しませようという意識を感じました。ただ、霊にとり憑かれるとどうなるのか、困ったりするエピソードがないので、説得力に欠けます。

■水波風南先生
楽しく読ませて頂きました。エピソードを次々重ねていく見せ方は少し少年まんが寄りかな。登場人物の気持ちの動きをもっと掘り下げたり、感情が爆発するシーンにはグッと引き込まれるような表情があるといいですね。

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「もうシロップはいらない」日置モモ(26歳・京都府)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
バンパイアの男の子の葛藤は伝わってきましたが「みつ」への想いや、二人の関係性の構築の部分をもっと明確にしたほうが物語に入り込めたと思います。絵は色んなアングルで描かれていてうまく、色気ある表情も良いです。

■藤沢志月先生
画力がとても高く、手や腕の男性的な表現や、色っぽい表情が素晴らしかったです。ストーリーは二人の関係性を表現するシーンが少ないと感じました。その辺を意識して描ければ、もっと魅力的な作品になると思います。

■まいた菜穂先生
絵がうまくてかっこいいです。雰囲気のある見せ方ができる方だと思うので、キスシーンがあっさりしていて残念。また、誰のセリフで誰のモノローグか、わかりにくかったです。読者を意識した見せ場を作ってください。

■水波風南先生
センスのある独特な雰囲気で画力も高く、内容も面白かったです。ただ、セリフや状況が所々わかりづらいので、これからは、どういう構図にしたら読者にわかりやすくなるかを研究してみると、なおいいと思います。

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「ぼくたちの失恋処方箋」朱音りか(36歳・大阪府)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
絵柄が可愛く、特にギャグ絵はキャラの良さをうまく引き立てていました。もう少し絵に自分しかない個性が出せるといいです。感情や状況を文字で説明している部分が多いので、もっと絵で表現できるといいと思います。

■藤沢志月先生
絵に華があり、良かったです。デフォルメ絵もとても可愛いです。話も可愛いですが、物語の展開自体は王道でインパクトに欠けると思いました。キャラや会話劇に個性を出して、読者を楽しませる工夫をしてみてください。

■まいた菜穂先生
メリーゴーラウンドのベンチに座る二人のシーンがすごく可愛かったです。ただ、主人公の気持ちの変化をモノローグで説明しているのがもったいないです。目のアップが多いので、ほかの表現でも気持ちを見せる工夫を。

■水波風南先生
デフォルメが特に可愛いですが、少し多用しすぎかもしれません。大事な感情の流れの所は、もう少しシリアスにできると感動的になったと思います。失恋した二人のやりとりが可愛く、とても素敵なセンスだと思います。

青年部門

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「艶罪」腋野怜太(20歳・群馬県)

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■花沢健吾先生
キャラクター造形に個性と嫌味の無さがあるので伸ばして欲しい。バストアップの多用で少々画面に圧迫感を感じる。引きの絵を使っての心理描写などまだまだ作画のレベルアップの余地があるのでがんばって欲しい。

■太田垣康男先生
不毛な恋心を丹念に描く筆致には力があり、読み終わった後に鉛を飲んだように胃が重くなった。技量は認めるがもう一度読みたいとは思えない。この漫画には快感がない。それが欠点。

■浅野いにお先生
内容に対してページ数が多く冗長なように思いますが、ちゃんと筋道立てて組み立てられた物語に違和感や疑問は全くありません。その理路整然とした感じが、逆に違和感というか淡泊な印象です。能面のような顔の主人公も面白いのですが、ずっと受け身ではなく男に一言何か言ってやってほしかった。感情のぶつかり合いは漫画の最大の見せ所なので、そう言った部分をもっと執拗に描いてもいいかもしれません。もしくは男がただの悪者でしかないので、二面性を持たせるなりで脇役にも一段深みを与えてほしかった。拗らせた人間を精密に描けるなら、もっと常軌を逸した特殊なケースも見てみたいです。基礎の技術はすでに十分揃っているので、あとは読者を驚かせるなり引かせるなりの大きなインパクトを持った作品に挑戦してもらいたいです。

■石塚真一先生
キャラの感情豊かに読者に想いを届けられる作者です。キャラの表情も豊かですんなり感情移入しました。絵柄も作者独特でとても良かった。

■業田良家先生
不器用な恋、若い頃の愛情の暴走に胸が締め付けられた。ただストーリーの展開としては、冒頭、現在から始まっているので、ラストも現在のシーンに戻して主人公がどんな人生を送っているのか、どんな心情でいるのかを描くべきだと思う。

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「鬼」浄土るる(17歳・群馬県)

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■花沢健吾先生
可愛いキャラクターで救いの無い残酷さ。読者を選んでしまうけど覚悟を決めて徹底的にこの方向で進んでも良いのかもしれない。トップクラスの作家は自分の個性を信じ、退路を絶って進んだ人達です。

■太田垣康男先生
これほど愛のない漫画を描くに至る作者の心情を思うと辛くなる。しかし、読者に向かって「この世界はクソだ」と伝えて溜飲を下げているとしたら、その作者の心情を私は否定する。

■浅野いにお先生
技術的な観点で言えば全てがど下手くそですが、この作品にそんな瑣末なことは求めません。最高でした。怒りに満ちた漫画です。ラストも笑うしかありませんでした。この作者が今後どういった作品が描けるのか想像つきませんし、漫画家としてやっていけるかどうかは全く保証できませんが、この規格外の才能の芽が摘まれませんように。

■石塚真一先生
ポップな絵柄と相対するストーリー。絵柄のせいかシリアスなシーンでは独特の恐怖感とリアルさを感じました。

■業田良家先生
主人公の優しさに泣きそうになり、でもその優しさも踏みにじられて胸が苦しくなった。読む方とすれば、ラストにほんの少しでも救いがほしかったけど、作者とすればこうするしかなかっただろうことも理解できる。絵も魅力的だし、17 歳でこんな作品を描いてしまうなんてすごいな。

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「飛べない鳥達」薄羽(20歳・東京都)

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■花沢健吾先生
キャラクター造形は良いので伸ばして欲しい。1ページ目と後半のシーンが繋がるテクニックはやりたくなる気持ちはわかるけど、読者は混乱するし、今回の物語にさほど必要性を感じない。自分の主張をいかにして読者にストレス無く読ませるか、もっと考えて欲しい。

■太田垣康男先生
作品の底にある死と狂気が兄妹の行く末を暗示しているようで切ない。そこから抜け出そうとする彼等の努力が報われて欲しいと願わずにはいられない漫画だ。

■浅野いにお先生
描きたい内容、テーマはしっかり伝わってきました。巣立ちきれない十代のもどかしさが、絵柄の朴訥さと相まって良い雰囲気を醸して出しています。画力に関してはまだまだ足りないと感じる箇所がありましたが、独特なキャラデザインは魅力的なのでそれは大切にしていただきたい。それと物語のキーになるうずらの描き方ですが、動物に実際の動物以上の表情やリアクションをとらせてしまうと途端にフィクション感が強くなってしまいます。読者によっては読んでいて萎える要因になってしまうので、一応意識はしておいてください。この作品に関して言えば、(見た目も)リアルな鳥だったとしても成立しています。

■石塚真一先生
素晴らしい!! グッときました。作者がキャラクターに寄り添っているため、物語に作為を感じさせないどころか自由さを感じました。このまま!! 自由に!!

■業田良家先生
父も家出をし、母も不倫をしているような壊れかけた家庭での兄と妹。ふたりの愛情と絆をごく自然に描いていて、心が温かくなった。登場人物たちの感情に無理がなく、作者の作為も感じないところがすごく良い。絵柄も可愛く、好感を持てた。

奨励金

10万円

少女・女性部門

「無敵♡ラブクラッシャー」宮部りな(24歳・埼玉県)

青年部門

「魚は目を開けて眠る」茂十郎(24歳・東京都)

「烈火」夏目ジャネ子(27歳・大阪府)

「空を巻き込んで泣く、君」籾山果音(18歳・神奈川県)

児童部門

入選

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「スーパーバトラーシツジくん」のだみさき(28歳・岐阜県)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
お話は、よくまとまっています。キャラがきちんと立っていて最後までブレずに動いているので、安心して読むことができました。絵は練習し、もっとペンに慣れましょう。

■沢田ユキオ先生
話が面白くキャラもよく描けているので、気持ちがよく伝わり心地よい読後感を味わえました。ただ、技術不足のため面白さが十分活かされていないのは、もったいない。

■のむらしんぼ先生
物語としての構成がよく、しっかりまとめられています。台詞も簡潔で読みやすい。柔らかい嫌味のない絵柄も好印象。兎にも角にも、ラストまで面白く読めた作品です。

■むぎわらしんたろう先生
絵は荒いですが、一生懸命描いている感じは、伝わってきます。シツジくんと少女のエピソードが、あまりにも多いので、大切な場面の印象が薄くなってしまっています。

佳作

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「ヴァン×パイア」ギャル王子(27歳・東京都)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
とても達者で、実力のある作者だと思います。ネタもくだらなくて面白いのですが、大人がクスッとするようなものが多く、もう少し児童漫画を意識してほしいです。

■沢田ユキオ先生
内容は、若干上向きな気はしますが、画力も含め完成度が高く、とても面白く読めました。笑いの間もよく、それぞれのネタも笑えました。もっと作品を読んでみたい!!

■のむらしんぼ先生
面白い! ヴァンパイア家族がヴァンパイアとして、しっかり板に付いている。お話(ギャグ)の展開、コマ運びのテンポもよく、作者の漫画センスを感じます。読後感も良し。

■むぎわらしんたろう先生
吸血鬼一家のドタバタを、面白く描いてはいるのですが、同じパターンの繰り返しなので、ギャグの驚きが薄くなっていく感じがしました。絵は、読みやすいです。

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「全力だゼ!ガチおくん」とし山じゅん(19歳・東京都)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
コロコロ的な王道のギャグ漫画で、よくまとまっています。でも逆に言うと、真新しさが感じられず、主人公の圧倒的な存在感や作品の個性が伝わってこないのが残念。

■沢田ユキオ先生
作品全体に、「硬さ」を感じますが、ネタがわかりやすくて面白いです。「ガチ握手」のコマは、表情のみで笑えました。「笑わせる力」は、十分持っている方だと思います。

■のむらしんぼ先生
絵的にも、お話(ギャグ)的にも、元気があってすごくいいです。何より主人公のキャラに、有り余る勢いがあるのが素晴らしいです。ギャグ漫画として二重丸です!

■むぎわらしんたろう先生
今回の応募作中、一番コロコロっぽい作画だと感じました。勢いもあるのですが、先が読めてしまうのが残念。主人公の活躍が、もっと際立つ舞台を考えてみましょう。

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「ギョギョッとヒーロー魚(ギョ)ッピー!」築亞 亜門(きつぎ あもん)(21歳・埼玉県)特別育成金 25万円

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■樫本学ヴ先生
ギャグや会話のリズム、話の展開のテンポがよいので、読みやすく最初からグングン引き込まれました。漫画表現としての笑いの取り方もできていて、感心しました。

■沢田ユキオ先生
いくつも笑える個所があり、テンポもよいので楽しく読めました。マサキと魚ッピーのやりとり、明るさがとてもいいと思います。絵は背景描写にも、もっと気配りを。

■のむらしんぼ先生
絵は線もキレイで、スッキリと見やすいです。キャラも可愛く、お話もよくまとまっています。ただ、状況がわかるように、必要な背景はしっかり描くことが大事です。

■むぎわらしんたろう先生
魚と少年のやりとりが楽しい。余計な理屈抜きで都合よく合体ヒーローが降ってくるのも、面白いです。合体してからのキャラデザインは、もう一工夫ほしかったです。

少年部門

入選

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「Halation Temple」小松翔太(27歳・東京都)特別育成金 100万円

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■あだち充先生
この下ネタ漫画の才能をちゃんとした漫画(?)でどれだけ生かせるか楽しみでもあり、心配でもあり…

■高橋留美子先生
こういう不条理な話は個人的に好きです。今後もこんな感じでいくのなら読者を飽きさせない細かいアイデアをたくさん考えてください。

■青山剛昌先生
すげーー面白かった。普通にこの話の続きが読みたい(笑)。なにしろ主人公のキャラがとてもいい! テンポも軽快だし絵も上手くてオチもGOOD ! 早く連載してください(笑)。

■畑健二郎先生
面白かったのですが、一撃必殺の下ネタで次に何を描くべきかは悩むところ。キャラクターで魅せていくタイプのギャグではなくストロングスタイルのギャグなのでこのレベルでどれだけ数をかけるかが勝負です。

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「代行者(パシリ)達のファンファーレ」彌(わたり)(21歳・神奈川県)

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■あだち充先生
絵の粗さと背景の少なさが気になりますが、この人には細かい事を気にせずにこのまま突っ走ってもらいたい気がします。

■高橋留美子先生
迫力とスピード感はあります。オチは結構好きです。しかし、特殊な設定にキャラクターがついて行ってない感じが惜しいです。別のテーマの作品も見てみたいです。

■青山剛昌先生
すっげーー面白かった! 設定も斬新だし、主人公とヒロインのキャラがとてもいい!! 絵も見やすくてセリフもスルスル流れていく! アニメの『キルラキル』みたい(笑)。で、いつから連載はじめるの(笑) ?

■畑健二郎先生
勢いのある画面作りや、バカバカしい設定を大真面目にやる点は好感を持ちました。ただ、お話を読んでもらうためにはもう一つ、工夫が必要。キャラ本来の魅力であったり、物語の本質的な面白さであったり。

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「もやもや」ちゃんやつ(26歳・東京都)

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■あだち充先生
画力の安定感は抜群ですが少年漫画としてどうなのか?主人公はオッサンくさいし、話も… タイトル通り「もやもや」します。

■高橋留美子先生
ネタはヤング誌向きかなと。話の質から元気さを感じられないのは仕方ないのですが、少年漫画なのか?と疑問に思います。絵はこなれていて見やすいです。

■青山剛昌先生
とても面白かった。話の流れに独特の間があってセリフのセンスというか歯切れがとてもよく読みやすかった。ただコマ割りが読みづらい所や、状況説明がちゃんと出来ていないシーンあったので、そこを直せば完璧かも。

■畑健二郎先生
よく描けているとは思いました。お話自体は小さいものの、キャラクターの立て方、見やすい画面などかなり技術力を感じられます。やや古臭さい描写が各所に見られるので、控えたほうがいいかなとは思います。

佳作

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「魔女だって楽じゃない」伏見ダイキ(21歳・京都府)

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■あだち充先生
描き慣れた絵には安定感があり、話の展開も素直で読みやすいのですが、その分引っかかるとこがなくて読み終わった後の印象が薄い。

■高橋留美子先生
今回の中で、絵は最高に可愛らしいです。話はシンプルで良いのですが、もうひとひねり欲しい。見開きの背景がもう少し迫力があればもっと感動できたかと思います。

■青山剛昌先生
絵もカワイクて見やすいし、テンポもよくセリフも読みやすいんだけど… まぁ、思った通りの展開で意外性がちと足りなかったかな? でも漫画が上手なのでもっともっと上達すると思います!

■畑健二郎先生
山本崇一朗先生の影響を強く感じてしまいますが、その部分を差し引いても、絵も話もよくまとまっていて良かった思います。まだ若いので、もっと自分らしい表現を見つけていくのがいいかなと思います。

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「据え膳食わぬは男の意地」旗町マコ(22歳・千葉県)

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■あだち充先生
年齢と時代劇という事で加点です(笑)。それだけでなく、ふざけたネタをていねいに仕上げる腕とセンスに作家としての才能を感じます。

■高橋留美子先生
主人公とライバルの対立軸を、もっと早い段階で印象的に見せてほしかったです。細かいエピソードの積み重ねで逆にボンヤリしてしまっている印象です。ヒロイン(?)は絵的に目を引くので良いと思います。

■青山剛昌先生
なかなか風変わりな話で悪くはなかったんだけど、ダラダラ長い。24Pぐらいでまとめられると思う(笑)。あと、結局、人魚の肉を使ったかどうかわかりにくいし、勝負の結果を引っ張った効果も大してなかったように思う。

■畑健二郎先生
総合力で今回一番レベルが高かった。特にキャラの絵が丁寧で上手いだけではなく、しっかり「演技」をさせていた点はとても高評価でした。お話も終始一定以上の平和な雰囲気が維持されていて現代風だなと。

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「FLAVOR」能島翔太(25歳・大阪府)

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■あだち充先生
キャラの描き分け、アクションシーン。画力は高いです。話も展開もスムーズで新人としては高いレベルにいると思うので後は自分の売りを見つけてください。

■高橋留美子先生
絵は描きなれた感じで、描きこんである割りに見易いです。ヒロインの性格、表情はそのままで、もう少し可愛く描けませんか? 結構大切な事かと思います。

■青山剛昌先生
おしい! 絵や構図のとり方はとてもとてもセンスがよくてアクションシーンはノリノリだったんだけど、話がわかりづらい。ヒロインの髪色が真逆になっていて同一人物に見えないし…(笑)

■畑健二郎先生
伸び代を感じるいい絵だと思います。お話も少年漫画らしい熱い展開で良かったと思います。ただ、基礎的な画力に問題があり、どこで何が起こっているのか分かりづらく、細かな設定や説明描写が多かったです。

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「腹ペコ幽霊悲鳴合戦」染谷吏輝(25歳・埼玉県)

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■あだち充先生
背景や小物をごまかさずにしっかり描こうとする姿勢には好感が持てます。ヒロインの幽霊キャラの魅力不足が残念…

■高橋留美子先生
中盤の展開は、ハラハラさせてうまいと思いました。絵はちょっと重い感じがします。ヒロインの変顔はOKですが、それでも可愛く思わせる画力を磨いてください。

■青山剛昌先生
割りと面白かった! でも、コマとコマのつながりが悪く、かなり読みづらい所もあったので(妙な所にギャグが入ってると笑えないし、ノリが悪くなる)次からは気をつけよう。でも、幽霊が悲鳴を食べる設定は面白い!

■畑健二郎先生
女の子がもっと可愛いければ良かったのですが、その部分の引きがないので残念な印象。可愛さとは絵柄だけではなく、仕草であったり、言葉遣いであったり、そういう細部に可愛さは宿ると思うのです。

少女・女性部門

佳作

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「お憑かれアミーゴ!」はれのちハンドレ(23歳・千葉県)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
勢いとテンポの良さとコメディのセンスがあり楽しく読めました。人物の色んな動作を描こうとする意欲が感じられ、絵が生き生きしています。女の子の絵は可愛いですが、男の子にはもう少しかっこ良さがほしかったです。

■藤沢志月先生
人物のデッサンなど、各シーンで高い表現力が発揮されていると思いました。一方お話は少し説明不足。世界設定の詳細や、主人公が普通の生活を送りたい動機を掘り下げて入れられると、わかりやすくなると思います。

■まいた菜穂先生
ぶっ飛んでいる設定を全力でやりきっているのがすごいです。細部まで読者を楽しませようという意識を感じました。ただ、霊にとり憑かれるとどうなるのか、困ったりするエピソードがないので、説得力に欠けます。

■水波風南先生
楽しく読ませて頂きました。エピソードを次々重ねていく見せ方は少し少年まんが寄りかな。登場人物の気持ちの動きをもっと掘り下げたり、感情が爆発するシーンにはグッと引き込まれるような表情があるといいですね。

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「もうシロップはいらない」日置モモ(26歳・京都府)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
バンパイアの男の子の葛藤は伝わってきましたが「みつ」への想いや、二人の関係性の構築の部分をもっと明確にしたほうが物語に入り込めたと思います。絵は色んなアングルで描かれていてうまく、色気ある表情も良いです。

■藤沢志月先生
画力がとても高く、手や腕の男性的な表現や、色っぽい表情が素晴らしかったです。ストーリーは二人の関係性を表現するシーンが少ないと感じました。その辺を意識して描ければ、もっと魅力的な作品になると思います。

■まいた菜穂先生
絵がうまくてかっこいいです。雰囲気のある見せ方ができる方だと思うので、キスシーンがあっさりしていて残念。また、誰のセリフで誰のモノローグか、わかりにくかったです。読者を意識した見せ場を作ってください。

■水波風南先生
センスのある独特な雰囲気で画力も高く、内容も面白かったです。ただ、セリフや状況が所々わかりづらいので、これからは、どういう構図にしたら読者にわかりやすくなるかを研究してみると、なおいいと思います。

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「ぼくたちの失恋処方箋」朱音りか(36歳・大阪府)特別育成金 33万円

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■尾崎衣良先生
絵柄が可愛く、特にギャグ絵はキャラの良さをうまく引き立てていました。もう少し絵に自分しかない個性が出せるといいです。感情や状況を文字で説明している部分が多いので、もっと絵で表現できるといいと思います。

■藤沢志月先生
絵に華があり、良かったです。デフォルメ絵もとても可愛いです。話も可愛いですが、物語の展開自体は王道でインパクトに欠けると思いました。キャラや会話劇に個性を出して、読者を楽しませる工夫をしてみてください。

■まいた菜穂先生
メリーゴーラウンドのベンチに座る二人のシーンがすごく可愛かったです。ただ、主人公の気持ちの変化をモノローグで説明しているのがもったいないです。目のアップが多いので、ほかの表現でも気持ちを見せる工夫を。

■水波風南先生
デフォルメが特に可愛いですが、少し多用しすぎかもしれません。大事な感情の流れの所は、もう少しシリアスにできると感動的になったと思います。失恋した二人のやりとりが可愛く、とても素敵なセンスだと思います。

青年部門

大賞

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「Ms.NOBOTAN」赤井千歳(25歳・神奈川県)

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■花沢健吾先生
ストーリーと作画のクオリティが今回一番高かった。キャラクターも嫌味がなく多くの読者にも好かれそう。ただバランスが良過ぎて、欲を言えば何か突き抜けるモノがあると尚良い。ここがプロになれるかどうかの別れ道かもしれない。

■太田垣康男先生
説明が長く語り部の視点がコロコロ変わる下手な前半に「これはダメかも」と思っていたが、若い男性店員が登場してから物語が突然面白くなった。キャラの演技も演出も決めコマも小道具の使い方まで冴え渡り、前半とは別の漫画のような完成度。扉絵も含め前半の構成を練り直せば素晴らしい短編になると思う。

■浅野いにお先生
非常に完成度が高いです。画力、構成力、キャラクター、どれをとっても十分プロレベルです。物語の流れはオーソドックスですが、今までありそうでなかった設定を違和感なく、最近の世相も相まってむしろ実際にあるのではと思える説得力を持って最後まで描ききっていたことも素晴らしいと思います。主人公の心情も丁寧に説明されているので、ラストにかけての葛藤、決断ともに納得ができます。かつ読後感も気持ちがよく、良い落とし所を見つけられていると思います。完成度が高いため、作家性というものが見えなくなっていますがそれはトレードオフなので仕方ないです。とはいえもう少し作者ご本人のアクを出しても問題ないかと思います。今後、長尺の連載を持った場合はまた課題も変わってくるとは思いますが、確かな実力を感じるので頑張っていただきたいです。

■石塚真一先生
絵、ストーリー共に技術の高い作品です。分かりやすく、読みやすい。キャラクターの外見と内面の描き分けも群を抜いて上手い。才能ある作者なので、もっともっと“自由”な作品を読んでみたいと思います。

■業田良家先生
ビジネスオネエのアイデアが素晴らしい、と思ってググったら実際にあるんですね(笑)。続きが何話でも描けそうな設定になっている点も良い。ただ主人公の顔が老けて見え、少し魅力に欠ける。主人公らしい顔に仕上げてほしかった。

入選

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「悪者のすべて」岩田ユキ(46歳・東京都)

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■花沢健吾先生
非常にこなれた絵柄とストーリー作り。安心して読めましたが、欲を言えばもう一捻りあると記憶に残る作品になった。プロになる差は僅かですがそこを研さんできるかです。次回作を楽しみにしています。

■太田垣康男先生
39 ページまで面白く読めた。が、ラストのオチで全てが台無しに。主人公は結局のところ親友すら妬み、自らの羞恥心を捨てられずに死を選んでしまった。何とも後味が悪い。

■浅野いにお先生
作者の余裕を感じる作品でした。絵的に読みやすく、全体の構成も整然と淡々と終わります。悲劇的なシーンも悲壮感を出さないようコミカルに描いてしまう計算高さも感じました。しかしどこか物足りなさを感じるのは、主人公は基本的にすべて受け身で、最初から最後まで自身のルッキズムに囚われたまま。根本的な部分で全く成長しなかったことが原因かと思われます。せっかくはじめて築けた友情を、結局自分で否定しているので物語として成立していません。その「物語の否定」自体を面白さとして描きたかったのであれば、ラスト数ページ追加して、もうひとつどんでん返し、もしくは踏み込んだ作者自身の解釈を見せてくれれば大化けしたようにも思えます。

■石塚真一先生
いい!! 自由な設定の中でとてもリアルな感情を追った力作でした。物語と絵のバランスもとても良かった。次作、楽しみです。

■業田良家先生
ラストはもうひとひねりほしかったけど、すごく好きな作品です。覆面を被せられて個性を消される方が幸せだと感じる人間もいるんだという指摘、テロを起こす人間の心情、歪んで伸びた花の描写など、心に刺さる表現がたくさんあった。描線も柔らかくて、見ていて心地良い。

佳作

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「艶罪」腋野怜太(20歳・群馬県)

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■花沢健吾先生
キャラクター造形に個性と嫌味の無さがあるので伸ばして欲しい。バストアップの多用で少々画面に圧迫感を感じる。引きの絵を使っての心理描写などまだまだ作画のレベルアップの余地があるのでがんばって欲しい。

■太田垣康男先生
不毛な恋心を丹念に描く筆致には力があり、読み終わった後に鉛を飲んだように胃が重くなった。技量は認めるがもう一度読みたいとは思えない。この漫画には快感がない。それが欠点。

■浅野いにお先生
内容に対してページ数が多く冗長なように思いますが、ちゃんと筋道立てて組み立てられた物語に違和感や疑問は全くありません。その理路整然とした感じが、逆に違和感というか淡泊な印象です。能面のような顔の主人公も面白いのですが、ずっと受け身ではなく男に一言何か言ってやってほしかった。感情のぶつかり合いは漫画の最大の見せ所なので、そう言った部分をもっと執拗に描いてもいいかもしれません。もしくは男がただの悪者でしかないので、二面性を持たせるなりで脇役にも一段深みを与えてほしかった。拗らせた人間を精密に描けるなら、もっと常軌を逸した特殊なケースも見てみたいです。基礎の技術はすでに十分揃っているので、あとは読者を驚かせるなり引かせるなりの大きなインパクトを持った作品に挑戦してもらいたいです。

■石塚真一先生
キャラの感情豊かに読者に想いを届けられる作者です。キャラの表情も豊かですんなり感情移入しました。絵柄も作者独特でとても良かった。

■業田良家先生
不器用な恋、若い頃の愛情の暴走に胸が締め付けられた。ただストーリーの展開としては、冒頭、現在から始まっているので、ラストも現在のシーンに戻して主人公がどんな人生を送っているのか、どんな心情でいるのかを描くべきだと思う。

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「鬼」浄土るる(17歳・群馬県)

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■花沢健吾先生
可愛いキャラクターで救いの無い残酷さ。読者を選んでしまうけど覚悟を決めて徹底的にこの方向で進んでも良いのかもしれない。トップクラスの作家は自分の個性を信じ、退路を絶って進んだ人達です。

■太田垣康男先生
これほど愛のない漫画を描くに至る作者の心情を思うと辛くなる。しかし、読者に向かって「この世界はクソだ」と伝えて溜飲を下げているとしたら、その作者の心情を私は否定する。

■浅野いにお先生
技術的な観点で言えば全てがど下手くそですが、この作品にそんな瑣末なことは求めません。最高でした。怒りに満ちた漫画です。ラストも笑うしかありませんでした。この作者が今後どういった作品が描けるのか想像つきませんし、漫画家としてやっていけるかどうかは全く保証できませんが、この規格外の才能の芽が摘まれませんように。

■石塚真一先生
ポップな絵柄と相対するストーリー。絵柄のせいかシリアスなシーンでは独特の恐怖感とリアルさを感じました。

■業田良家先生
主人公の優しさに泣きそうになり、でもその優しさも踏みにじられて胸が苦しくなった。読む方とすれば、ラストにほんの少しでも救いがほしかったけど、作者とすればこうするしかなかっただろうことも理解できる。絵も魅力的だし、17 歳でこんな作品を描いてしまうなんてすごいな。

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「飛べない鳥達」薄羽(20歳・東京都)

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■花沢健吾先生
キャラクター造形は良いので伸ばして欲しい。1ページ目と後半のシーンが繋がるテクニックはやりたくなる気持ちはわかるけど、読者は混乱するし、今回の物語にさほど必要性を感じない。自分の主張をいかにして読者にストレス無く読ませるか、もっと考えて欲しい。

■太田垣康男先生
作品の底にある死と狂気が兄妹の行く末を暗示しているようで切ない。そこから抜け出そうとする彼等の努力が報われて欲しいと願わずにはいられない漫画だ。

■浅野いにお先生
描きたい内容、テーマはしっかり伝わってきました。巣立ちきれない十代のもどかしさが、絵柄の朴訥さと相まって良い雰囲気を醸して出しています。画力に関してはまだまだ足りないと感じる箇所がありましたが、独特なキャラデザインは魅力的なのでそれは大切にしていただきたい。それと物語のキーになるうずらの描き方ですが、動物に実際の動物以上の表情やリアクションをとらせてしまうと途端にフィクション感が強くなってしまいます。読者によっては読んでいて萎える要因になってしまうので、一応意識はしておいてください。この作品に関して言えば、(見た目も)リアルな鳥だったとしても成立しています。

■石塚真一先生
素晴らしい!! グッときました。作者がキャラクターに寄り添っているため、物語に作為を感じさせないどころか自由さを感じました。このまま!! 自由に!!

■業田良家先生
父も家出をし、母も不倫をしているような壊れかけた家庭での兄と妹。ふたりの愛情と絆をごく自然に描いていて、心が温かくなった。登場人物たちの感情に無理がなく、作者の作為も感じないところがすごく良い。絵柄も可愛く、好感を持てた。

※児童部門は入選・佳作の4作品に、少女・女性部門は佳作の3作品に、特別育成金100万円が各々等分で授与されます。


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