96回募集中!2025年315日(土)しめきり

これまでの受賞者

これまでの受賞者一覧

第89回発表

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大賞

賞状、記念盾、賞金200万円、液晶タブレット(Cintiq 13HD)CLIP STUDIO PAINT EX、受賞作収録本

青年部門

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「さらば太陽」瀬澤ノブコ(25歳・東京都)

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■花沢健吾先生
コロナ禍の今を真っ直ぐに描いていて好感が持てました。漫画の表現力は総合的に高く、とくにマスクの使い方や食事のシーンなど才能を感じるけど、それ故に、物語に何か新しいものを感じられなかったのは残念です。プロになれる力を十分に持っているのですが埋もれてしまわない自分の武器を見つけてほしい。

■太田垣康男先生
二度と戻らない青春の輝きとそれを手放してしまった後悔。主人公の哀惜が痛々しい。しかし、これは長編漫画の最終回のようだ。読者は主人公の輝く青春を追体験していないので喪失感を共有できない。この出来事を客観的に、他人事の様に感じる読後感は寂しい限りだ。

■浅野いにお先生
素晴らしかったです。大半が回想シーンという大胆な構成ですが、キャラクターに熱があって実存感があります。コロナを物語に持ち込んだこともわざとらしさはなく、むしろリアリティを持たせる良い効果を生んでいると思います。何箇所かある見せ場の大ゴマも、それぞれ力の入った絵でインパクトがあり、特にラストの自転車のシーンは大きな喪失感を感じさせる珠玉の演出だったと思います。特に問題点は見当たりません。しっかりとした人間ドラマを描くセンスがあるのは間違いないので、次はもっと長尺の作品を読んでみたいです。期待しています。

■石塚真一先生
魅力ある絵、展開、どれもハイレベル。もはやプロです。感情の流れも実に自然。人と人の関わり合いをよく見てる作者です。楽しませてもらいました。素晴らしい! !

■業田良家先生
漫画の主人公が憧れている人物を読者に伝わるように魅力的に描くのはすごく難しいことなのだが、巧く読者に伝えている。絵も見せ方も上手で、実在する人物を見ているように感じた。そして私も今までに亡くした大切な人のことを思い出した。力のある作品だ。

入選

賞状、記念盾、賞金50万円、ペンタブレットまたはスキャナーCLIP STUDIO PAINT PRO、受賞作収録本

児童部門

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「言魂使いゲン」山鷹景(19歳・埼玉県)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
「言魂使い」言葉に宿る力を操るという、一風変わった素材。しかし肝心の言魂使いの技がはっきりしないのが惜しい。絵は丁寧! 特に手の表現はよく描けています!

■松本しげのぶ先生
導入から読ませる力を感じます。四字熟語vsダジャレは、大人と子どもの対比が利いていて爽快。悪である大人の理想や恐怖感も魅力的。ネームがよくできています。

■曽山一寿先生
ハイ、面白かったです。すばらしい才能です。伸びしろと将来性では、今回ナンバー1です。全体に漂うセンスが、正直うらやましいです。シーンの魅せ方がスゴイです。

■村瀬範行先生
面白そうと読み始められる作品でした。絵はきれいで、話も難しくなく、一気に読めました。気になるところは、読者のことまであまり考えられてないかなという点です。

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「三ツ星★★★セボンくん」鈴間くさり(27歳・東京都)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
料理店と、主人公のガイド調査員の活躍が楽しめました。お店の外観やメニュー、どんな料理が食べられる店なのか、美味しそうな料理の絵が描ければ、星★★★です!

■松本しげのぶ先生
お話も主人公のセボン君も謎めいて魅力的。バトル描写にセンスがあり、料理まんがだったはずが、バトルに魅了された。これが作者の計算なら一本取られた感じです。

■曽山一寿先生
イヤー、びっくりしましたね。絶対、料理勝負のまんがだと思ったら、まさかのバトルまんが! よくできています。作品全体の完成度でいったら、今回ナンバー1です。

■村瀬範行先生
上手ですが、むっちゃ面白いかと言われるとそうでもないです。どこがワクワクするところなのか、主人公の魅力を感じさせるところなのか、もっとアイデアが必要です。

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「マキフン大使グングニル」クリストファー・アイゼンフィールド(26歳・岩手県)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
「マキフン」を作るためにきた宇宙人、グングニル! くだらなくて笑えました! これぞコロコロのギャグまんがだと思いました。作者の名前で笑ったのも初めてです。

■松本しげのぶ先生
とても笑えた。くだらなくて好き。マキフンでいろいろなギャグを工夫して個性的に表現している。全体の完成度が高い。もっと爆発できるのではないかと期待します。

■曽山一寿先生
面白かったです! ギャグまんがとして、すごくバカバカしく読めました。取り立てて、ココが良くないとかココがイマイチとか、弱点が見当たらないのもスゴイです。

■村瀬範行先生
大変面白かったです。主人公のマイペースなキャラクター性と、成し遂げる事のバカバカしさが楽しいです。絵は全身のコマも多く動きのあるまんがで、ぼくは好きです。

少年部門

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「Manoel」乙亀ハル(19歳・兵庫県)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
総合力が高く、特に画力はかなりのレベルだと思います。次に何を描くのか、どんな漫画家を目指しているのか、とても興味深いです。 

■高橋留美子先生
冒頭がわかりにくかったです。主人公のキャラは良いのですが、それとからむ聖歌隊の少年たちの描き方があっさりしているせいか、せっかくのラストの盛り上がりがいまひとつになってしまい惜しかったです。ラストもその前が盛り上がっていればもっと痛快に思えたかも。

■青山剛昌先生
とにかく絵がとても上手い! 話も読みやすく、のりのりで読んでたんだけど生徒を全員魔物に変えてしまうオチにはビックリです! でも、まぁ悪さをしないのなら…(笑)。この人の次の作品が早く読みたい(笑)。

■畑健二郎先生
絵は相当なレベルだと思います。お話も独特の世界観を作っており、キャラクターも生き生きしていてよかったです。ただ説明不足な点が多いかなと。漫画をよく読む人であればなんとなく設定や世界観に対して想像で補えるのですが、普通の読者はこれだと辛い。今後の課題としてはひとまず読者にやさしい話を何作か描いてみるのがいいのではないでしょうか?

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「ある悪夢の中」山川 映(21歳・広島県)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
これ「少年部門」ですよね? 絵にも話にも色々違和感があってそれなりのインパクトはありました。

■高橋留美子先生
特に冒頭部、主人公が電車に乗っていて、異形のものはホームに居る(?)のかわかりにくかったです。ビーという人物、キャラとしては魅力的ですが、女子に見えませんでした。絵は下手ではないので、女の子の練習をした方が得だと思います。独特の雰囲気がある作風なので、絵と構成の勉強をしてください。

■青山剛昌先生
色々わかりにくかったけど面白かった! 特に16、17ページの見開きの妹のセリフがイイ感じです! テンポがよくて読みやすかったけど、やっぱわかりにくかった(笑)。でもそこがいいのかも?(笑)何で腕つってるの?(笑)

■畑健二郎先生
『漫画』としての完成度が高かったので、あんまり言うことはないのです。これだけ読みやすい漫画をこの年齢で描けるのであればあまり心配もないかなと。絵に関してはまだまだ未熟な部分はありますがまだ若いですし、このままガンガン描き続けていればやがて画力も自分の表現力に追いついてくるでしょう。

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「Monster Punch」本間仁助(22歳・東京都)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
乱暴な展開ですが読みやすく強引な説得力も気持ちいい。ボクシングの試合を含めて32ページにまとめた構成力も評価します。

■高橋留美子先生
構成力があり、キャラの対立構造もわかり易く、面白く読めました。主人公の顔がマジでこわいんですが、後半との落差を鑑みると、アリかなと。陽キャラ主人公も見てみたいです。

■青山剛昌先生
やろうとしている題材はいいんだけどイマイチ話に説得力がない…自分をいつわる演技とボクシングのフェイントが同じとは思えないし、フェイントに使うなら普段からその片鱗を見せて欲しかった。さっきまで右側にいたのに、いつのまにか左側にいるとか…でも絵が独特でおもしろいので次に期待です。

■畑健二郎先生
物語に引き込む力、テーマも絞り込めていて良かったと思います。ただ、ちょっと絵が既存の作家さんの影響が強いかなと。今後は自分の絵柄へと発展させてください。ストーリーに関しては、この導入部分からボクシングという流れは無理があるように感じました。出だしが良かったので次の展開を期待したところ、急に誰かに見いだされ、ボクシングしたら超強いという展開は、入口と出口が違う印象を受けました。

青年部門

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「葬送」鈴木サキ(18歳・茨城県)

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■花沢健吾先生
ご自身の経験なのかとても丁寧に描いていました。「死」というテーマに明確な答えなどないでしょう。それでも、誰にでも訪れる「死」に対する作者の目線が更に見えてくると、それが個性になり次回作への期待に繋がります。

■太田垣康男先生
泣いた。主人公と祖父との別れを私も読者として追体験できた。見たままの現実を描写しようとする真摯な絵は地味に感じる場合もあるが、その観察眼には間違いなく高い作家性が秘められている。将来有望と感じた。

■浅野いにお先生
弱っていく祖父の描写は丁寧で身に迫るものがありましたが、ラストへ向けての展開に意外性がなく、「祖父が亡くなって悲しい」という一つの感情しか描かれていないと思いました。身内が亡くなることが悲しいというのは当然のことなので、それに対して誰も文句は言わないと思いますし、それはただの現実です。現実は現実として誰もが想像できるものを、あえて作品として描くことも作品としてはありかと思いますが、それにしてはまだ画力が追いついていない印象です。突き抜けた画力を獲得してビジュアル的な演出で工夫するか、事象をもっと多面的に捉えることで、作品に現実以上の新たな価値を与えてください。

■石塚真一先生
想いをとっても丁寧に追った力作です。絵も実に細かく描き込まれています。表情も繊細で豊かです。「愛情」を感じました。人間味溢れる作者の次作に大いに期待しています。

■業田良家先生
おじいさんが亡くなった悲しさはよく伝わってきた。しかし漫画、読み物としてのアイデアをどこかに入れてほしい。

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「childhood」羅門タロス(28歳・大阪府)

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■花沢健吾先生
ご自身の体験談なのか、この漫画を描いた理由がわからないので難しいところですが、一読者としては何か希望があると良いのですが。この漫画を読んだ人がどのように思ってほしかったのか、描いたことによって作者本人が変化してゆくのか、何も分からないまま暗くなる作品でした。

■太田垣康男先生
親からの愛情を得ることなく過ぎてしまった子供時代、これほど大きな喪失はない。貴重な時間を失った子供達はどう社会へ旅立つのか、その問題提起に胸が締め付けられた。作者がその先の救いを経験し、一日も早く漫画で描ける日が来ることを祈る。

■浅野いにお先生
物語に派手さはないものの、子供時代に感じる家庭の窮屈さや逃げ場のなさを素朴な絵柄で淡々と描く有り様に胸を打たれました。ラストはもうひと展開あるのかなと思いきや何も起きないのですが、その投げっぱなしな感じが余韻につながっていると思います。ただ、全体的にコマ割りと構図が雑で読みづらい部分が多いです。読者の視線誘導を意識した画面構成にしないとページを捲る手が止まってしまいます。ストーリーや作画以前にまずは読みやすいことが大前提ですから、全てのコマに必然性が感じられるような画面づくりを目指していただきたいです。

■石塚真一先生
胸に迫るリアリティある物語です。作者の人間観察力が確かだからこその作品だと思います。一見シンプルに描かれたようなキャラクター達ですが、表情は細かく心情を伝えています。コマからコマへのタイミングで描く感情表現が良かった。今後の作者の人間物語に期待しています。

■業田良家先生
機能不全の家庭が淡々と簡潔に語られている。絵が巧いとは言えないが、表現が的確なので、子供たちの心情が伝わり、胸が締め付けられた。現代に生きる子供たちの生きづらさや苦しさが表現されている。

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「あなたは美しい」桃奈(23歳・埼玉県)

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■花沢健吾先生
ストーリーはありきたりですが、主人公の恥じらいの表情など繊細で丁寧に描けていると思います。しかし官能小説の内容がわからないので、そのギャップが見えてこないのが残念です。ギャップが大きければ大きいほどキャラクターが浮き彫りになるので見せてほしかった。

■太田垣康男先生
放課後の教室でヒロインと憧れの男の子が秘密を共有する。ドキドキするシチュエーションになる筈がその魅力が伝わって来ない。その原因はご都合主義にある。ヒロインが本当に困難に直面していれば印象は変わるが、まだ追い込みが足りない所為で都合良く見える。もっとヒロインを窮地に立たせる勇気を。

■浅野いにお先生
序盤、良い絵柄だなと思いながら読み進めていたのですが、途中から作画のテンションが下がったのか少し絵が雑になっていったように思います。ストーリーも中盤、中だるみ感があり、細やかな感情の機微というよりはただ冗長に感じてしまいました。「エロの精度が上がっている」というのもセリフで説明しているだけで、物語上にそれを示唆する描写がないので納得できません。出来事を順番に並べるだけでなくオチに向けての伏線を随所に配置しておくように心がければ、作品にまとまりが出ると思います。人物の表情はよく描けているので、構造的な脚本作りを意識してください。

■石塚真一先生
引き込まれる物語でした。気持ちのつかみ方が上手く、その後の展開力もあります。「スタートで読者の心を掴む」、これはほんとに大切だと思います。素晴らしい表情もとても魅力的でキュンとしました。

■業田良家先生
面白い設定だが、惜しい。女子生徒が書くエロ小説の具体的な内容をもう少しちゃんと読者に分かるように描くべきだ。そのほうが、主人公のやや変態的な魅力が出せたと思う。それに対する男子生徒の反応も、もっと具体的に心情を描くべきだ。

佳作

賞状、記念盾、賞金30万円、受賞作収録本

少年部門

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「ユーレイ屋敷に花が咲く」桐島 豊(24歳・滋賀県)

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■あだち充先生
クセのある絵ですが見やすく読みやすい。背景にも味があって全体的に安定感があります。これを長所にするか短所にするかが問題ですが…

■高橋留美子先生
笑顔が不吉エピソードはもっと増やした方が。一回では弱い。主人公があそこまでハブられるのは強引だと思います。後半の種明かしからの気持ちの盛り上げは良い感じでした。ただ、そこで再び出てくる不良グループは、前と間があきすぎててうまく機能していませんでした。

■青山剛昌先生
多分「君の名は」的な話をやりたかったんだろうけど、設定がイマイチ練られていなく女の子が生き返ったのがご都合主義的に見えてしまう。絵も見やすくて女の子もかわいいので次に期待です。あとポリス(Police)のつづりが間違ってます(笑)。

■畑健二郎先生
絵は独特で完成度も高く、お話も分かりやすく読みやすかったです。ただ、気になったのは全体的に新鮮さが感じられない点です。完成度は高いのですが『今』を感じることができない印象でした。特に最後の方で一コマだけ描かれていた泥棒のデザインなどはいくら小さなコマとはいえ、ちょっとないかなと。地力はすでにあるのですから。期待しています。

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「竜葬師ビアンナ」けー(19歳・福岡県)

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■あだち充先生
竜が描きたかったのでしょうね。人物など絵はまだまだ不安定ですが、ストレートな話運びには好感が持てました。

■高橋留美子先生
世界観にスンナリ入っていけました。キャラクターの絵もかわいくて見易い。ただ父と娘のドラマはよくある平凡な感じ。もうひと工夫欲しかった。竜葬師は絵的に魅力がありますがキャラづけはもうひと味欲しい。

■青山剛昌先生
絵もうまく、設定がしっかりしててわかりやすくて読みやすかった! ただ、お父さんが死期を悟って厳しくなったのが見え見えだったのでもう少しビックリさせて欲しかった。あと竜葬師の牛竜と女の子の牛竜がほとんど同じに見えるのでどっちかにトーンとか貼った方がいいかも。

■畑健二郎先生
独特な文化を持つ世界観をしっかりと描けていた点は好感触でした。キャラクターの絵も可愛らしくて良かったです。ただ、さすがに話が単調すぎかなと。お父さんの本音に関してはあまりにもバレバレだったので工夫が必要かなと思います。あとビアンナのキャラクター性が最後まで出ていない点は問題かなと。性格や信条が分かる場面がなく感情移入が難しいと思いました。

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「レンタルキャットボーイ」鈴野スケ(19歳・東京都)

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■あだち充先生
小ネタたっぷりで楽しく読めました。見せ場の絵とのギャップはいいのですが所々手抜きに見えてしまうところがあるのでご注意くださいませ。将来性はありです。

■高橋留美子先生
ヒロインの立ち位置の説明がわかりにくく、理解するのに時間がかかり損してると思いました。キャラクターを描こうとする姿勢が見えて好感が持てます。しかし後半視点が男の子の方に移るのがいまいちスムーズにいってない感じ。スタイリッシュな画作りは良いです。

■青山剛昌先生
絵はとても独特でセンスがあってイイ感じなんだけどセリフと構図がわかりにくくて多分作者が表現したかった事が4分の1ぐらいしかオレには伝わってないと思う。あと、トビラの前の回想の女の子と主人公の女の子が同一人物と気づくまでしばらくかかった(笑)。

■畑健二郎先生
独特のリズム感やセンスを感じる作品でした。キャラクターの口調や絵の構図も独特なものが多く本筋以外の遊びの部分に作者の特徴が出ていて良かったと思います。ただ、絵に関してはもう少し頑張る余地があるかなと。キャラクターの判別が難しいシーンや、なにが起こっているのかわからない場面も多くちょっとこちらの理解力が及ばない部分も多かった印象です。

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「recapture」墨ノ春秋(25歳・富山県)

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■あだち充先生
クセのあるアクの強さは残したままでキャラクターを含めた絵の勉強を…

■高橋留美子先生
ちょっとわかりにくかったです。神のキャラはうまく物語構成をしていればカッコ良さが伝わったと思います。弟も最後を締める形で出て来ますが、それまで人物として描ききれていないため、弱いです。

■青山剛昌先生
スゲ――面白かった! 絵も上手くてセリフにも切れがあり、なにしろ読みやすかった! 今まであまり見た事のない作風でとても新鮮で読んでて気持ちよかった!! ただ、どうせなら女の子がだまして魔物に食わせた人達をラストで生き返らせて欲しかったけど…このままでも悪くはないです(笑)。

■畑健二郎先生
世界観を練り上げ、キャラクターをしっかりと描こうとする姿勢はとても良かったと思います。絵の方向性や演出も少年漫画らしく描きたいものを描きたいという想いがほとばしってる点も好感触。とはいえ話は演出が過剰な印象を受けました。一から十まで全部キャラクターに大声で言わせても読者には届きづらいでしょう。今後は引き算を覚えるといいかなと思います。

少女・女性部門

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「スーパープラトニック・ラブ」かなむら麻(33歳・石川県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
絵もうまく、満点で言うことがないほどです。話の先が気になる設定が作れるところがすごいなと思いました。キャラもよかったです。あえて挙げるとしたら、告白のシーンははっきり描いたほうがよかったかもしれません。

■宇佐美真紀先生
主人公の表情が豊かでかわいらしいと思います。自分のためだけでなく、眼鏡の彼のためにも一生懸命なところがあるともっとかわいくなるのではないかと思います。

■水瀬藍先生
画力が高くスッキリした絵柄。構図のとり方が上手で読みやすいです。いいコマが左下にきてることが多いのでめくり(右ページ)にくるよう意識を。キャラのやりとりがとてもかわいいです!

■やぶうち優先生
絵はプロ級! キャラも魅力的です。ただ全体的にコマの大きさや処理が単調なので場面ごとにメリハリを。お話は設定がおもしろいので楽しく読めましたが、展開はもう一工夫ほしかったです。タイトルももう一歩!

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「リモ恋!!」宮部りな(27歳・埼玉県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
ラストがやや唐突な感じがしましたが、設定は今ふうでとてもよかったと思います。画面作りも読者を意識しているのが伝わりました。楽しかったです。構図等見せ方はお上手なので、絵をもう少し頑張ってみてください。

■宇佐美真紀先生
現代にはこういう恋の始まり方もあるのだろうなと思いました。女の子の心情が高まっていくところがよく描けていると思います。男の子も機転が利くところが素敵でした。

■水瀬藍先生
とても好きです! キャラの表情が活き活きとしていて魅力的。テンポもよく楽しく読みました。パジャマのシーンが好きです! ラストが少しわかりにくく戻って読んだので、もっと素直に走り抜けていいと思います。

■やぶうち優先生
絵は画面を華やかにしようというサービス精神が好印象。やりすぎると見にくいので、ここぞの時に絞るとさらに効果的です。話はキャラがかわいく、女の子の感情描写がよく描けていてドキドキしながら楽しく読めました。

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「ニワトリの国のジョージ」兎さか(29歳・千葉県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
キャラのおかげか、不倫ものなのにモヤモヤしないのが好印象。最後まで気になって読めました。絵も読者に好かれそうです。ラストは唐突な印象。最後の一コマは飛行機が飛び立つところ等があるとよかったと思います。

■宇佐美真紀先生
絵柄がかわいらしいのですが、話が大人っぽいので、大人っぽい絵柄と雰囲気が出せるようになれば印象がもっと変わるのではと思いました。

■水瀬藍先生
絵柄がかわいく、スッキリした画面は見やすいです。お話の流れはおもしろいと思うのですが、やや淡々とした印象です。

■やぶうち優先生
話は説明不足な箇所もありますが、独特の空気感と謎めいたキャラのおかげでおもしろく読めました。絵は人物や背景は描けていますが、線が荒い箇所があるのが惜しい。コマ割りは単調なので、内枠を使ってメリハリを。

青年部門

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「端本に会いたい」翡翠こはく(20歳・広島県)

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■花沢健吾先生
物語はよくあるけど、絵柄に独特の説得力があり読み進めることができた。とは言え、やはりよくある物語なので自分なりの価値観を見せてほしい。

■太田垣康男先生
漫画家は自己の憧れを乗せてキャラクターを作る。その行為は偏愛と紙一重だ。問題はそうやって生み出したキャラクターを自分を慰める為に使うか、読者を慰めるか、にある。プロを目指すなら後者であるべきだし、その偏愛を貶めるべきではない。

■浅野いにお先生
濃厚独特な絵柄で、絵を描こうという意欲が伝わってきました。画面の雰囲気は良いのですが、人物の顔のデザインが安定しておらず、コマごとにキャラが別人のように見えてしまうので注意してほしいです。物語としてはやや平板で、主人公が「妄想」と決別して成長する落とし所はそれでいいとしても、決別に至る過程が曖昧なのでいまいち釈然としません。主人公が変化するきっかけは自己完結型にせず、相手もしくは第三者から与えられるかたちにしたほうが読者は納得すると思います。

■石塚真一先生
みずみずしく勢いある線で描かれた力作です。作者の勢いがペンに乗っているかのような迫力があります。話をパッケージとして閉じることに囚われず伝えたい感情を追うことだけで不思議なまとまりになることがあります。話をまとめず、感情優先のオープンな作品も読んでみたい作者です。

■業田良家先生
描線に勢いがあって、生々しい絵柄が個性的で好きだ。ラストで主人公が変わることができた理由が、はっきりとは分からなかったが、そこをウヤムヤにせず、ちゃんとアイデアを出して解決してほしい。

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「本心で、語らせて」笹竹のこ(19歳・愛知県)

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■花沢健吾先生
「先生うざい」は実は先生だったというオチになるのかなぁとちょっと勘ぐって読んでいたら、非常に真っ直ぐな話でした。ゲーム内での戦闘シーンなどもう少し描きつつ、現実への愚痴などを主人公たちに言わせたりすると、現実と仮想現実のギャップをもっと感じられて面白くなるかもです。

■太田垣康男先生
キャラクターの心理や行動が薄い。現状ではステレオタイプ。読者に語りたい本心とはなんなのか、その抑圧の原因や行動に移せない理由とは? もう少し深く考え造形しなければキャラクターに命を与えることはできません。

■浅野いにお先生
まず作画に関してですが、まだまだ修練が必要だと思います。他作家から学んで画面作りの技術を磨いてください。ストーリーに関してはベーシックではありますが、出会い・接近・すれ違いという基本的な流れができているので非常に読みやすかったです。しかし最終的な落とし所がぼやけているというか、メインキャラ二人がお互いの立場を理解した上で、どのような感情に着地したのかが明確でないため、物足りない印象です。あと数ページ追加して、二人の感情をぶつけ合うセリフがあれば作品としてまとまったように思います。

■石塚真一先生
良い! ! グッときました。日常の中の人をよく観察しているのか、感情の動きがとても自然でした。「関係性の物語」を創れるのは作者の強みです。今後の作品を期待しています。

■業田良家先生
本心を語れない、他人に心を開けない、なんでも話せる友達がいない。そんな悩みをゲームを通して表現している所にアイデアとリアリティを感じた。最後にふたりがリアルに遊びに行く点はよかった。でも、もう少し大きな事件なりエピソードを入れてほしい。読み物としての面白さを意識してください。

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「悪女のてほどき」清水 善(27歳・東京都)

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■花沢健吾先生
自分の考える常識の範囲内の悪女でした。キャラクターは魅力的に描ける力は感じましたが、「なるほど! こんな悪女もいるんだ!」と気付かせてほしい。自分の持っている悪女という価値観をぶち壊してほしい。新人さんに期待するのは小手先のテクニックよりも爆発力なのです。

■太田垣康男先生
主人公とヒロインは本来なら属する所が違う。その二人が偶然出逢うことで始まる物語……という構成の筈だが、その違和感や偶然性が上手く表現できていない。キャラクターの心理描写にはロケーションを含めた演出技法も必要だ。漫画のテクニックを更に磨いてほしい。

■浅野いにお先生
絵柄は安定していて描き慣れているように感じます。女性の内面の掘り下げが足りないせいか、ただの軽薄な人物に見えてしまうのが残念でした。恋心をテーマにしている割には少しドラマが都合よく進み過ぎているからかもしれませんが、結論もとりたてて珍しいものでもないため、物語としてはやや消化不良かと思います。反面、男性の描写には執着を感じるので、もっと固有のキャラクターを作れるようになると強みになると思います。恋愛ストーリーは描きやすいぶん巷に溢れてしまっているので、もっと独自性を高める工夫を。

■石塚真一先生
有機的でとても魅力のある絵です。感情の表現も巧み。なにより物語を読むのになんのストレスも感じませんでした。上手い! !これからの作品を楽しみにしています。

■業田良家先生
女性がかわいく色っぽく描けていて、それだけで読む意欲が湧く。この後、どうなるのかと読者を引っ張る力もある。それだけに最後にもうひとひねり、どんでん返しを入れて、読者を満足させてほしい。

奨励金

10万円

児童部門

「名探偵マッチョ」秋雄つばさ(28歳・埼玉県)

少女・女性部門

「高瀬の秘密」味ポイル(17歳・埼玉県)

「浮遊」嫩ゆきお (23歳・千葉県)

「松原さんは松がお好き」あゆくま(27歳・大阪府)

児童部門

入選

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「言魂使いゲン」山鷹景(19歳・埼玉県)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
「言魂使い」言葉に宿る力を操るという、一風変わった素材。しかし肝心の言魂使いの技がはっきりしないのが惜しい。絵は丁寧! 特に手の表現はよく描けています!

■松本しげのぶ先生
導入から読ませる力を感じます。四字熟語vsダジャレは、大人と子どもの対比が利いていて爽快。悪である大人の理想や恐怖感も魅力的。ネームがよくできています。

■曽山一寿先生
ハイ、面白かったです。すばらしい才能です。伸びしろと将来性では、今回ナンバー1です。全体に漂うセンスが、正直うらやましいです。シーンの魅せ方がスゴイです。

■村瀬範行先生
面白そうと読み始められる作品でした。絵はきれいで、話も難しくなく、一気に読めました。気になるところは、読者のことまであまり考えられてないかなという点です。

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「三ツ星★★★セボンくん」鈴間くさり(27歳・東京都)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
料理店と、主人公のガイド調査員の活躍が楽しめました。お店の外観やメニュー、どんな料理が食べられる店なのか、美味しそうな料理の絵が描ければ、星★★★です!

■松本しげのぶ先生
お話も主人公のセボン君も謎めいて魅力的。バトル描写にセンスがあり、料理まんがだったはずが、バトルに魅了された。これが作者の計算なら一本取られた感じです。

■曽山一寿先生
イヤー、びっくりしましたね。絶対、料理勝負のまんがだと思ったら、まさかのバトルまんが! よくできています。作品全体の完成度でいったら、今回ナンバー1です。

■村瀬範行先生
上手ですが、むっちゃ面白いかと言われるとそうでもないです。どこがワクワクするところなのか、主人公の魅力を感じさせるところなのか、もっとアイデアが必要です。

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「マキフン大使グングニル」クリストファー・アイゼンフィールド(26歳・岩手県)特別育成金 33万円

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■むぎわらしんたろう先生
「マキフン」を作るためにきた宇宙人、グングニル! くだらなくて笑えました! これぞコロコロのギャグまんがだと思いました。作者の名前で笑ったのも初めてです。

■松本しげのぶ先生
とても笑えた。くだらなくて好き。マキフンでいろいろなギャグを工夫して個性的に表現している。全体の完成度が高い。もっと爆発できるのではないかと期待します。

■曽山一寿先生
面白かったです! ギャグまんがとして、すごくバカバカしく読めました。取り立てて、ココが良くないとかココがイマイチとか、弱点が見当たらないのもスゴイです。

■村瀬範行先生
大変面白かったです。主人公のマイペースなキャラクター性と、成し遂げる事のバカバカしさが楽しいです。絵は全身のコマも多く動きのあるまんがで、ぼくは好きです。

少年部門

入選

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「Manoel」乙亀ハル(19歳・兵庫県)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
総合力が高く、特に画力はかなりのレベルだと思います。次に何を描くのか、どんな漫画家を目指しているのか、とても興味深いです。 

■高橋留美子先生
冒頭がわかりにくかったです。主人公のキャラは良いのですが、それとからむ聖歌隊の少年たちの描き方があっさりしているせいか、せっかくのラストの盛り上がりがいまひとつになってしまい惜しかったです。ラストもその前が盛り上がっていればもっと痛快に思えたかも。

■青山剛昌先生
とにかく絵がとても上手い! 話も読みやすく、のりのりで読んでたんだけど生徒を全員魔物に変えてしまうオチにはビックリです! でも、まぁ悪さをしないのなら…(笑)。この人の次の作品が早く読みたい(笑)。

■畑健二郎先生
絵は相当なレベルだと思います。お話も独特の世界観を作っており、キャラクターも生き生きしていてよかったです。ただ説明不足な点が多いかなと。漫画をよく読む人であればなんとなく設定や世界観に対して想像で補えるのですが、普通の読者はこれだと辛い。今後の課題としてはひとまず読者にやさしい話を何作か描いてみるのがいいのではないでしょうか?

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「ある悪夢の中」山川 映(21歳・広島県)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
これ「少年部門」ですよね? 絵にも話にも色々違和感があってそれなりのインパクトはありました。

■高橋留美子先生
特に冒頭部、主人公が電車に乗っていて、異形のものはホームに居る(?)のかわかりにくかったです。ビーという人物、キャラとしては魅力的ですが、女子に見えませんでした。絵は下手ではないので、女の子の練習をした方が得だと思います。独特の雰囲気がある作風なので、絵と構成の勉強をしてください。

■青山剛昌先生
色々わかりにくかったけど面白かった! 特に16、17ページの見開きの妹のセリフがイイ感じです! テンポがよくて読みやすかったけど、やっぱわかりにくかった(笑)。でもそこがいいのかも?(笑)何で腕つってるの?(笑)

■畑健二郎先生
『漫画』としての完成度が高かったので、あんまり言うことはないのです。これだけ読みやすい漫画をこの年齢で描けるのであればあまり心配もないかなと。絵に関してはまだまだ未熟な部分はありますがまだ若いですし、このままガンガン描き続けていればやがて画力も自分の表現力に追いついてくるでしょう。

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「Monster Punch」本間仁助(22歳・東京都)特別育成金 33万円

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■あだち充先生
乱暴な展開ですが読みやすく強引な説得力も気持ちいい。ボクシングの試合を含めて32ページにまとめた構成力も評価します。

■高橋留美子先生
構成力があり、キャラの対立構造もわかり易く、面白く読めました。主人公の顔がマジでこわいんですが、後半との落差を鑑みると、アリかなと。陽キャラ主人公も見てみたいです。

■青山剛昌先生
やろうとしている題材はいいんだけどイマイチ話に説得力がない…自分をいつわる演技とボクシングのフェイントが同じとは思えないし、フェイントに使うなら普段からその片鱗を見せて欲しかった。さっきまで右側にいたのに、いつのまにか左側にいるとか…でも絵が独特でおもしろいので次に期待です。

■畑健二郎先生
物語に引き込む力、テーマも絞り込めていて良かったと思います。ただ、ちょっと絵が既存の作家さんの影響が強いかなと。今後は自分の絵柄へと発展させてください。ストーリーに関しては、この導入部分からボクシングという流れは無理があるように感じました。出だしが良かったので次の展開を期待したところ、急に誰かに見いだされ、ボクシングしたら超強いという展開は、入口と出口が違う印象を受けました。

佳作

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「ユーレイ屋敷に花が咲く」桐島 豊(24歳・滋賀県)

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■あだち充先生
クセのある絵ですが見やすく読みやすい。背景にも味があって全体的に安定感があります。これを長所にするか短所にするかが問題ですが…

■高橋留美子先生
笑顔が不吉エピソードはもっと増やした方が。一回では弱い。主人公があそこまでハブられるのは強引だと思います。後半の種明かしからの気持ちの盛り上げは良い感じでした。ただ、そこで再び出てくる不良グループは、前と間があきすぎててうまく機能していませんでした。

■青山剛昌先生
多分「君の名は」的な話をやりたかったんだろうけど、設定がイマイチ練られていなく女の子が生き返ったのがご都合主義的に見えてしまう。絵も見やすくて女の子もかわいいので次に期待です。あとポリス(Police)のつづりが間違ってます(笑)。

■畑健二郎先生
絵は独特で完成度も高く、お話も分かりやすく読みやすかったです。ただ、気になったのは全体的に新鮮さが感じられない点です。完成度は高いのですが『今』を感じることができない印象でした。特に最後の方で一コマだけ描かれていた泥棒のデザインなどはいくら小さなコマとはいえ、ちょっとないかなと。地力はすでにあるのですから。期待しています。

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「竜葬師ビアンナ」けー(19歳・福岡県)

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■あだち充先生
竜が描きたかったのでしょうね。人物など絵はまだまだ不安定ですが、ストレートな話運びには好感が持てました。

■高橋留美子先生
世界観にスンナリ入っていけました。キャラクターの絵もかわいくて見易い。ただ父と娘のドラマはよくある平凡な感じ。もうひと工夫欲しかった。竜葬師は絵的に魅力がありますがキャラづけはもうひと味欲しい。

■青山剛昌先生
絵もうまく、設定がしっかりしててわかりやすくて読みやすかった! ただ、お父さんが死期を悟って厳しくなったのが見え見えだったのでもう少しビックリさせて欲しかった。あと竜葬師の牛竜と女の子の牛竜がほとんど同じに見えるのでどっちかにトーンとか貼った方がいいかも。

■畑健二郎先生
独特な文化を持つ世界観をしっかりと描けていた点は好感触でした。キャラクターの絵も可愛らしくて良かったです。ただ、さすがに話が単調すぎかなと。お父さんの本音に関してはあまりにもバレバレだったので工夫が必要かなと思います。あとビアンナのキャラクター性が最後まで出ていない点は問題かなと。性格や信条が分かる場面がなく感情移入が難しいと思いました。

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「レンタルキャットボーイ」鈴野スケ(19歳・東京都)

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■あだち充先生
小ネタたっぷりで楽しく読めました。見せ場の絵とのギャップはいいのですが所々手抜きに見えてしまうところがあるのでご注意くださいませ。将来性はありです。

■高橋留美子先生
ヒロインの立ち位置の説明がわかりにくく、理解するのに時間がかかり損してると思いました。キャラクターを描こうとする姿勢が見えて好感が持てます。しかし後半視点が男の子の方に移るのがいまいちスムーズにいってない感じ。スタイリッシュな画作りは良いです。

■青山剛昌先生
絵はとても独特でセンスがあってイイ感じなんだけどセリフと構図がわかりにくくて多分作者が表現したかった事が4分の1ぐらいしかオレには伝わってないと思う。あと、トビラの前の回想の女の子と主人公の女の子が同一人物と気づくまでしばらくかかった(笑)。

■畑健二郎先生
独特のリズム感やセンスを感じる作品でした。キャラクターの口調や絵の構図も独特なものが多く本筋以外の遊びの部分に作者の特徴が出ていて良かったと思います。ただ、絵に関してはもう少し頑張る余地があるかなと。キャラクターの判別が難しいシーンや、なにが起こっているのかわからない場面も多くちょっとこちらの理解力が及ばない部分も多かった印象です。

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「recapture」墨ノ春秋(25歳・富山県)

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■あだち充先生
クセのあるアクの強さは残したままでキャラクターを含めた絵の勉強を…

■高橋留美子先生
ちょっとわかりにくかったです。神のキャラはうまく物語構成をしていればカッコ良さが伝わったと思います。弟も最後を締める形で出て来ますが、それまで人物として描ききれていないため、弱いです。

■青山剛昌先生
スゲ――面白かった! 絵も上手くてセリフにも切れがあり、なにしろ読みやすかった! 今まであまり見た事のない作風でとても新鮮で読んでて気持ちよかった!! ただ、どうせなら女の子がだまして魔物に食わせた人達をラストで生き返らせて欲しかったけど…このままでも悪くはないです(笑)。

■畑健二郎先生
世界観を練り上げ、キャラクターをしっかりと描こうとする姿勢はとても良かったと思います。絵の方向性や演出も少年漫画らしく描きたいものを描きたいという想いがほとばしってる点も好感触。とはいえ話は演出が過剰な印象を受けました。一から十まで全部キャラクターに大声で言わせても読者には届きづらいでしょう。今後は引き算を覚えるといいかなと思います。

少女・女性部門

佳作

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「スーパープラトニック・ラブ」かなむら麻(33歳・石川県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
絵もうまく、満点で言うことがないほどです。話の先が気になる設定が作れるところがすごいなと思いました。キャラもよかったです。あえて挙げるとしたら、告白のシーンははっきり描いたほうがよかったかもしれません。

■宇佐美真紀先生
主人公の表情が豊かでかわいらしいと思います。自分のためだけでなく、眼鏡の彼のためにも一生懸命なところがあるともっとかわいくなるのではないかと思います。

■水瀬藍先生
画力が高くスッキリした絵柄。構図のとり方が上手で読みやすいです。いいコマが左下にきてることが多いのでめくり(右ページ)にくるよう意識を。キャラのやりとりがとてもかわいいです!

■やぶうち優先生
絵はプロ級! キャラも魅力的です。ただ全体的にコマの大きさや処理が単調なので場面ごとにメリハリを。お話は設定がおもしろいので楽しく読めましたが、展開はもう一工夫ほしかったです。タイトルももう一歩!

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「リモ恋!!」宮部りな(27歳・埼玉県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
ラストがやや唐突な感じがしましたが、設定は今ふうでとてもよかったと思います。画面作りも読者を意識しているのが伝わりました。楽しかったです。構図等見せ方はお上手なので、絵をもう少し頑張ってみてください。

■宇佐美真紀先生
現代にはこういう恋の始まり方もあるのだろうなと思いました。女の子の心情が高まっていくところがよく描けていると思います。男の子も機転が利くところが素敵でした。

■水瀬藍先生
とても好きです! キャラの表情が活き活きとしていて魅力的。テンポもよく楽しく読みました。パジャマのシーンが好きです! ラストが少しわかりにくく戻って読んだので、もっと素直に走り抜けていいと思います。

■やぶうち優先生
絵は画面を華やかにしようというサービス精神が好印象。やりすぎると見にくいので、ここぞの時に絞るとさらに効果的です。話はキャラがかわいく、女の子の感情描写がよく描けていてドキドキしながら楽しく読めました。

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「ニワトリの国のジョージ」兎さか(29歳・千葉県)特別育成金 33万円

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■岩本ナオ先生
キャラのおかげか、不倫ものなのにモヤモヤしないのが好印象。最後まで気になって読めました。絵も読者に好かれそうです。ラストは唐突な印象。最後の一コマは飛行機が飛び立つところ等があるとよかったと思います。

■宇佐美真紀先生
絵柄がかわいらしいのですが、話が大人っぽいので、大人っぽい絵柄と雰囲気が出せるようになれば印象がもっと変わるのではと思いました。

■水瀬藍先生
絵柄がかわいく、スッキリした画面は見やすいです。お話の流れはおもしろいと思うのですが、やや淡々とした印象です。

■やぶうち優先生
話は説明不足な箇所もありますが、独特の空気感と謎めいたキャラのおかげでおもしろく読めました。絵は人物や背景は描けていますが、線が荒い箇所があるのが惜しい。コマ割りは単調なので、内枠を使ってメリハリを。

青年部門

大賞

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「さらば太陽」瀬澤ノブコ(25歳・東京都)

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■花沢健吾先生
コロナ禍の今を真っ直ぐに描いていて好感が持てました。漫画の表現力は総合的に高く、とくにマスクの使い方や食事のシーンなど才能を感じるけど、それ故に、物語に何か新しいものを感じられなかったのは残念です。プロになれる力を十分に持っているのですが埋もれてしまわない自分の武器を見つけてほしい。

■太田垣康男先生
二度と戻らない青春の輝きとそれを手放してしまった後悔。主人公の哀惜が痛々しい。しかし、これは長編漫画の最終回のようだ。読者は主人公の輝く青春を追体験していないので喪失感を共有できない。この出来事を客観的に、他人事の様に感じる読後感は寂しい限りだ。

■浅野いにお先生
素晴らしかったです。大半が回想シーンという大胆な構成ですが、キャラクターに熱があって実存感があります。コロナを物語に持ち込んだこともわざとらしさはなく、むしろリアリティを持たせる良い効果を生んでいると思います。何箇所かある見せ場の大ゴマも、それぞれ力の入った絵でインパクトがあり、特にラストの自転車のシーンは大きな喪失感を感じさせる珠玉の演出だったと思います。特に問題点は見当たりません。しっかりとした人間ドラマを描くセンスがあるのは間違いないので、次はもっと長尺の作品を読んでみたいです。期待しています。

■石塚真一先生
魅力ある絵、展開、どれもハイレベル。もはやプロです。感情の流れも実に自然。人と人の関わり合いをよく見てる作者です。楽しませてもらいました。素晴らしい! !

■業田良家先生
漫画の主人公が憧れている人物を読者に伝わるように魅力的に描くのはすごく難しいことなのだが、巧く読者に伝えている。絵も見せ方も上手で、実在する人物を見ているように感じた。そして私も今までに亡くした大切な人のことを思い出した。力のある作品だ。

入選

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「葬送」鈴木サキ(18歳・茨城県)

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■花沢健吾先生
ご自身の経験なのかとても丁寧に描いていました。「死」というテーマに明確な答えなどないでしょう。それでも、誰にでも訪れる「死」に対する作者の目線が更に見えてくると、それが個性になり次回作への期待に繋がります。

■太田垣康男先生
泣いた。主人公と祖父との別れを私も読者として追体験できた。見たままの現実を描写しようとする真摯な絵は地味に感じる場合もあるが、その観察眼には間違いなく高い作家性が秘められている。将来有望と感じた。

■浅野いにお先生
弱っていく祖父の描写は丁寧で身に迫るものがありましたが、ラストへ向けての展開に意外性がなく、「祖父が亡くなって悲しい」という一つの感情しか描かれていないと思いました。身内が亡くなることが悲しいというのは当然のことなので、それに対して誰も文句は言わないと思いますし、それはただの現実です。現実は現実として誰もが想像できるものを、あえて作品として描くことも作品としてはありかと思いますが、それにしてはまだ画力が追いついていない印象です。突き抜けた画力を獲得してビジュアル的な演出で工夫するか、事象をもっと多面的に捉えることで、作品に現実以上の新たな価値を与えてください。

■石塚真一先生
想いをとっても丁寧に追った力作です。絵も実に細かく描き込まれています。表情も繊細で豊かです。「愛情」を感じました。人間味溢れる作者の次作に大いに期待しています。

■業田良家先生
おじいさんが亡くなった悲しさはよく伝わってきた。しかし漫画、読み物としてのアイデアをどこかに入れてほしい。

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「childhood」羅門タロス(28歳・大阪府)

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■花沢健吾先生
ご自身の体験談なのか、この漫画を描いた理由がわからないので難しいところですが、一読者としては何か希望があると良いのですが。この漫画を読んだ人がどのように思ってほしかったのか、描いたことによって作者本人が変化してゆくのか、何も分からないまま暗くなる作品でした。

■太田垣康男先生
親からの愛情を得ることなく過ぎてしまった子供時代、これほど大きな喪失はない。貴重な時間を失った子供達はどう社会へ旅立つのか、その問題提起に胸が締め付けられた。作者がその先の救いを経験し、一日も早く漫画で描ける日が来ることを祈る。

■浅野いにお先生
物語に派手さはないものの、子供時代に感じる家庭の窮屈さや逃げ場のなさを素朴な絵柄で淡々と描く有り様に胸を打たれました。ラストはもうひと展開あるのかなと思いきや何も起きないのですが、その投げっぱなしな感じが余韻につながっていると思います。ただ、全体的にコマ割りと構図が雑で読みづらい部分が多いです。読者の視線誘導を意識した画面構成にしないとページを捲る手が止まってしまいます。ストーリーや作画以前にまずは読みやすいことが大前提ですから、全てのコマに必然性が感じられるような画面づくりを目指していただきたいです。

■石塚真一先生
胸に迫るリアリティある物語です。作者の人間観察力が確かだからこその作品だと思います。一見シンプルに描かれたようなキャラクター達ですが、表情は細かく心情を伝えています。コマからコマへのタイミングで描く感情表現が良かった。今後の作者の人間物語に期待しています。

■業田良家先生
機能不全の家庭が淡々と簡潔に語られている。絵が巧いとは言えないが、表現が的確なので、子供たちの心情が伝わり、胸が締め付けられた。現代に生きる子供たちの生きづらさや苦しさが表現されている。

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「あなたは美しい」桃奈(23歳・埼玉県)

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■花沢健吾先生
ストーリーはありきたりですが、主人公の恥じらいの表情など繊細で丁寧に描けていると思います。しかし官能小説の内容がわからないので、そのギャップが見えてこないのが残念です。ギャップが大きければ大きいほどキャラクターが浮き彫りになるので見せてほしかった。

■太田垣康男先生
放課後の教室でヒロインと憧れの男の子が秘密を共有する。ドキドキするシチュエーションになる筈がその魅力が伝わって来ない。その原因はご都合主義にある。ヒロインが本当に困難に直面していれば印象は変わるが、まだ追い込みが足りない所為で都合良く見える。もっとヒロインを窮地に立たせる勇気を。

■浅野いにお先生
序盤、良い絵柄だなと思いながら読み進めていたのですが、途中から作画のテンションが下がったのか少し絵が雑になっていったように思います。ストーリーも中盤、中だるみ感があり、細やかな感情の機微というよりはただ冗長に感じてしまいました。「エロの精度が上がっている」というのもセリフで説明しているだけで、物語上にそれを示唆する描写がないので納得できません。出来事を順番に並べるだけでなくオチに向けての伏線を随所に配置しておくように心がければ、作品にまとまりが出ると思います。人物の表情はよく描けているので、構造的な脚本作りを意識してください。

■石塚真一先生
引き込まれる物語でした。気持ちのつかみ方が上手く、その後の展開力もあります。「スタートで読者の心を掴む」、これはほんとに大切だと思います。素晴らしい表情もとても魅力的でキュンとしました。

■業田良家先生
面白い設定だが、惜しい。女子生徒が書くエロ小説の具体的な内容をもう少しちゃんと読者に分かるように描くべきだ。そのほうが、主人公のやや変態的な魅力が出せたと思う。それに対する男子生徒の反応も、もっと具体的に心情を描くべきだ。

佳作

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「端本に会いたい」翡翠こはく(20歳・広島県)

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■花沢健吾先生
物語はよくあるけど、絵柄に独特の説得力があり読み進めることができた。とは言え、やはりよくある物語なので自分なりの価値観を見せてほしい。

■太田垣康男先生
漫画家は自己の憧れを乗せてキャラクターを作る。その行為は偏愛と紙一重だ。問題はそうやって生み出したキャラクターを自分を慰める為に使うか、読者を慰めるか、にある。プロを目指すなら後者であるべきだし、その偏愛を貶めるべきではない。

■浅野いにお先生
濃厚独特な絵柄で、絵を描こうという意欲が伝わってきました。画面の雰囲気は良いのですが、人物の顔のデザインが安定しておらず、コマごとにキャラが別人のように見えてしまうので注意してほしいです。物語としてはやや平板で、主人公が「妄想」と決別して成長する落とし所はそれでいいとしても、決別に至る過程が曖昧なのでいまいち釈然としません。主人公が変化するきっかけは自己完結型にせず、相手もしくは第三者から与えられるかたちにしたほうが読者は納得すると思います。

■石塚真一先生
みずみずしく勢いある線で描かれた力作です。作者の勢いがペンに乗っているかのような迫力があります。話をパッケージとして閉じることに囚われず伝えたい感情を追うことだけで不思議なまとまりになることがあります。話をまとめず、感情優先のオープンな作品も読んでみたい作者です。

■業田良家先生
描線に勢いがあって、生々しい絵柄が個性的で好きだ。ラストで主人公が変わることができた理由が、はっきりとは分からなかったが、そこをウヤムヤにせず、ちゃんとアイデアを出して解決してほしい。

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「本心で、語らせて」笹竹のこ(19歳・愛知県)

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■花沢健吾先生
「先生うざい」は実は先生だったというオチになるのかなぁとちょっと勘ぐって読んでいたら、非常に真っ直ぐな話でした。ゲーム内での戦闘シーンなどもう少し描きつつ、現実への愚痴などを主人公たちに言わせたりすると、現実と仮想現実のギャップをもっと感じられて面白くなるかもです。

■太田垣康男先生
キャラクターの心理や行動が薄い。現状ではステレオタイプ。読者に語りたい本心とはなんなのか、その抑圧の原因や行動に移せない理由とは? もう少し深く考え造形しなければキャラクターに命を与えることはできません。

■浅野いにお先生
まず作画に関してですが、まだまだ修練が必要だと思います。他作家から学んで画面作りの技術を磨いてください。ストーリーに関してはベーシックではありますが、出会い・接近・すれ違いという基本的な流れができているので非常に読みやすかったです。しかし最終的な落とし所がぼやけているというか、メインキャラ二人がお互いの立場を理解した上で、どのような感情に着地したのかが明確でないため、物足りない印象です。あと数ページ追加して、二人の感情をぶつけ合うセリフがあれば作品としてまとまったように思います。

■石塚真一先生
良い! ! グッときました。日常の中の人をよく観察しているのか、感情の動きがとても自然でした。「関係性の物語」を創れるのは作者の強みです。今後の作品を期待しています。

■業田良家先生
本心を語れない、他人に心を開けない、なんでも話せる友達がいない。そんな悩みをゲームを通して表現している所にアイデアとリアリティを感じた。最後にふたりがリアルに遊びに行く点はよかった。でも、もう少し大きな事件なりエピソードを入れてほしい。読み物としての面白さを意識してください。

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「悪女のてほどき」清水 善(27歳・東京都)

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■花沢健吾先生
自分の考える常識の範囲内の悪女でした。キャラクターは魅力的に描ける力は感じましたが、「なるほど! こんな悪女もいるんだ!」と気付かせてほしい。自分の持っている悪女という価値観をぶち壊してほしい。新人さんに期待するのは小手先のテクニックよりも爆発力なのです。

■太田垣康男先生
主人公とヒロインは本来なら属する所が違う。その二人が偶然出逢うことで始まる物語……という構成の筈だが、その違和感や偶然性が上手く表現できていない。キャラクターの心理描写にはロケーションを含めた演出技法も必要だ。漫画のテクニックを更に磨いてほしい。

■浅野いにお先生
絵柄は安定していて描き慣れているように感じます。女性の内面の掘り下げが足りないせいか、ただの軽薄な人物に見えてしまうのが残念でした。恋心をテーマにしている割には少しドラマが都合よく進み過ぎているからかもしれませんが、結論もとりたてて珍しいものでもないため、物語としてはやや消化不良かと思います。反面、男性の描写には執着を感じるので、もっと固有のキャラクターを作れるようになると強みになると思います。恋愛ストーリーは描きやすいぶん巷に溢れてしまっているので、もっと独自性を高める工夫を。

■石塚真一先生
有機的でとても魅力のある絵です。感情の表現も巧み。なにより物語を読むのになんのストレスも感じませんでした。上手い! !これからの作品を楽しみにしています。

■業田良家先生
女性がかわいく色っぽく描けていて、それだけで読む意欲が湧く。この後、どうなるのかと読者を引っ張る力もある。それだけに最後にもうひとひねり、どんでん返しを入れて、読者を満足させてほしい。


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