96回募集中!2025年315日(土)しめきり

これまでの受賞者

これまでの受賞者一覧

第83回発表

  • 賞の順
  • 部門順

入選

賞状・記念盾・副賞50万円・ペンタブレット・CLIP STUDIO PAINT PRO・受賞作収録本

青年部門

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「メタモルフォーシ人」うすくらふみ(39歳・東京都)特別育成金

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■花沢健吾先生
この作品も素晴らしかったです。キャラにも魅力があり、物語も予想外の方向に流れつつも心地よい着地があります。この作品でシリーズ化も良いですし、違う作品も読んでみたい。期待しています。

■太田垣康男先生
主人公は何か努力をしただろうか? 何かご褒美をもらえるような善行を積んだだろうか?主人公が奇妙な状況を安易に受け入れる流れもご都合主義だ。宝くじに当たる幸運を描くより、自力で幸運をつかみ取る主人公を私は見たい。

■浅野いにお先生
絵柄や構成など、マンガを作る上での基本的な技量は十分で、読んでいて全くストレスを感じませんでした。これはとても重要なことです。読みやすさや視線誘導、物語の緩急など、読者にどう読ませるかの配慮が感じられるのも好印象でした。ストーリーに関しては、すこぶる地味ですが、キャラクターの所作が地に足がついている印象なので、突飛な設定にも関わらず無理がなく、自然と主人公の「本当の姿」に興味がわきます。その「本当の姿」も、これまた地味なものでしたが、それがゆえに全く予想できないもので、でもどこか説得力はあるという絶妙な落としどころで面白かったです。

■石塚真一先生
絵から、作者特有のキャラに対する愛情(のようなもの)を感じました。コマ割りと構図も確立されたものがあり、読みやすかった。予想を越える大胆な話の進め方ができる作者です。

■業田良家先生
人間も幼虫から成虫に変態するという荒唐無稽なアイデアにすんなりと納得させられて楽しく読めた。そこに作者の力量を感じる。どんなテーマでも幅広く描くことのできる絵柄だし、多くの人に受け入れられる絵だと思う。最後のヘビー級のボクサーというオチも意外性があってすごく良かった。しかもラスベガス!

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「インタレスト」ツジコマコ(42歳・東京都)特別育成金

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■花沢健吾先生
非常に良かった。絵も魅力的で、物語もよくある宇宙人との交流モノを超えていた。この目線を大事にしてプロの道に進んでほしい。

■太田垣康男先生
主人公の表情の変化や絵の可愛らしさには好感が持てる。しかし、ヒロインと過ごす時間やエピソードが表層的でアイデアの練り込みが無い。設定の説明にページを使うのは最小限に。日常の中で彼女とどんなデートをして、どんな忘れられない思い出を作るかを描くほうが何倍も重要。

■浅野いにお先生
肩の力が抜けた良い雰囲気の作品でした。ほうぼうの作家からの影響を感じますが、現状それ以上の個性はあまり感じられません。品が良く、無難にまとまってしまっている印象もあるので、もっとアクを残してもいいのかもしれません。しかし、無気力な主人公がラストで明確に一歩前進するというのはメッセージとしては非常にシンプルで力強く、雰囲気マンガだけではとどまらない気持ち良さがありました。

■石塚真一先生
読みやすく、楽しく、温かい雰囲気に包まれた作品です。キャラの気持ちを丁寧に追えているからでしょうか、キャラクターのどの表情も、とても自然で抜群の存在感がありました。

■業田良家先生
宇宙人で「興味研究者」という設定が面白い。深いテーマを含ませることもできるし、楽しい話に仕上げることもできそうだ。最後の締めは、主人公の決意で終わるのではなく、ちゃんと行動を起こさせてほしい。主人公が行動で示さないと、マンガは面白くならないので。

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「ピカレスク」秋川星(29歳・東京都)

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■花沢健吾先生
絵は好感が持て、物語も予想外の方向に流れていくので飽きさせない。実力はあるので、もっとキャラに魅力を出せると記憶に残る作品になると思います。表紙が、物語との関連が見えてこなくて損をしている。

■太田垣康男先生
物語は荒削りだが、胸に迫るものがあった。いや、正直感動した。人物の演技も巧みで情感があり、画面構成、コマ割り等にも非凡な才能を感じる。何より、台詞回し、言葉の響きがとても良かった!一片の詩や歌を感じる瑞々しいマンガなんてなかなか出会えない! 素晴らしかった!

■浅野いにお先生
ページ単位の絵の密度が絶妙で、今回の応募作の中では圧倒的に好みです。絵柄が安定していて、一コマ単位のイラストとしてみれば構図も良いです。しかし、フキダシに頼りすぎで、マンガとしては読みづらい箇所が多かったです。誰がしゃべっているセリフなのかが確実に分かるようにしてください。ストーリーに関しては正直、ご都合展開&盛り込みすぎです。せっかくの壮大な設定も消化しきれてない感があり、もったいないです。キャラが魅力的に描けているのですから、人物の描写に焦点を絞って、たわいのない話でもマンガとして成立させられる力量はあるはずです。決められたページ数から逆算して話を調整するのも技術です。今回の応募作のような規模のお話は、連載マンガでじっくり手間とページをかけて表現してください。

■石塚真一先生
作者が創った世界観には説得力があります。おそらく「本気」で描いているからだと思います。絵の表現も、世界観とマッチングしています。理由は置いておいても「なんか好きだな。」と思えた作品でした。

■業田良家先生
素晴らしい作品です。人物描写も、背景も、コマ割りも、トーンの使い方さえも巧い。人工知能や、科学技術に対する期待や恐れが効果的に表現されている。そして作者の祈りのような思いも伝わってきた。傑作だと思います。

佳作

賞状・記念盾・副賞30万円・ペンタブレット・受賞作収録本

児童部門

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「ダンディ・エッグ」高尾ひでおみ(22歳・愛知県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
全体的に「これから」という印象ですが、一生懸命面白いものを描こうとしている感じは伝わってきます。主人公は、もっと読者を意識したキャラ作りを心がけましょう。

■沢田ユキオ先生
ダンディ・エッグと平凡太のボケ・ツッコミが明確で、オシャレでエレガントなネタも素直に笑えました。テンポや間もいい! ラストは力ずくで笑わされた気がします。

■のむらしんぼ先生
導入部のリズムとテンポが、すごくいい。普通の発想なら、ほかのキャラを加えますが、「たった二人だけ」の掛け合い。シンプルでわかりやすく、ギャグもサイコーでした。

■むぎわらしんたろう先生
たまごの主人公は、インパクトがあって、等身大の姿になった時も面白いです。ただ、ギャグやツッコミ、表情のつけ方等、この作者独自の面白さがほしいですね。

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「学校のふしぎくん」くろださや(25歳・広島県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
コロコロでがんばりたいという意気込みを感じますが、主人公がまだキャラクタ?として普通のため弱いです。悪霊になった姿は、迫力がありかっこよく描けています。

■沢田ユキオ先生
全体的にソツなく、うまくまとまっている好編だと思います。絵もとても読みやすいのですが、話は意外性がなく残念です。でも最後のオチは驚きました! 面白い!!

■のむらしんぼ先生
ふしぎくんの登場の仕方や正体など、いい意味で読者を裏切り、わくわく面白く読めました。絵は画面にメリハリや立体感が欠けていて、やや見づらいのが惜しいです。

■むぎわらしんたろう先生
どんな妖怪や怪物が出るのかと期待しましたが、予想通りの展開でした。出てきた悪霊がどういう霊なのか、弱点や好物の理由の説明もあると読者に親切だと思います。

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「DJ小学生シャイニング」プンタ(30歳・埼玉県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
画が上手く、冒頭から期待感がありましたが、その期待を越えるインパクトがなかったのが残念。主人公も個性的なことを売りにしているわりに、普通のキャラでした。

■沢田ユキオ先生
新しいキャラを創ろうとする意欲は、好感が持てますが、主人公は少し無理矢理な設定の感じがします。絵柄は表情がよく味もあるので、絵柄を生かした作品があるはず。

■のむらしんぼ先生
テンポがよくキャラが立っていて、ラストまで面白く読めました。DJ小学生としてのアイデアもキョーレツで、とてもよいです。絵もパワフルで勢いがあって二重丸!

■むぎわらしんたろう先生
DJ小学生というネタは、新しく感じました。主人公とボウズの古瀬井くんとのやりとりが面白い! むしろ、主人公よりも、古瀬井くんのほうが印象に残りました。

少年部門

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「ドキドキドウキ」由季(21歳・東京都)特別育成金

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■あだち充先生
アイディアの面白さと、話の展開もスムーズです。大ゴマの使い過ぎが気になりますが、絵柄、独特の構図も魅力的で、伸びしろの大きい人だと思います。

■高橋留美子先生
ヒロインの初出が顔ショットだったため、女の子とわからず読み出しでひっかかりました。設定は良いのですがメインの事件の「なにが謎なのか」が伝えきれていないため、せっかくの謎解きの場が生かしきれなかった。

■青山剛昌先生
結構面白かった! キュン死の設定が斬新でよかったし、ミステリーとしてもなかなかよく出来ている。ただ、状況説明とかのセリフが、かなりわかりづらくて何度も読み返さなければ理解できなかった(笑)。

■畑健二郎先生
発展途上ですが絵に華があり、キャラクターも魅力的に見せる力があると思います。しかし読者が一番気になる部分を宙ぶらりんにしたまま、別の話が進行するので興味を持って読み進めるのが難しいと感じました。

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「あなたに幸せを」紺沢ろく(19歳・東京都)特別育成金

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■あだち充先生
強引な設定を上手く料理して学園ドラマに仕上げています。画力はもの足りませんが、好感の持てる絵柄に可能性を感じます。

■高橋留美子先生
素直な話はこびで、翼の設定もスンナリ受け入れられました。キャラクターの気持ちをしっかり追っかけている所も良かったと思います。素直を生かしつつ、さらなる物語展開の意外性など工夫してください。

■青山剛昌先生
面白かった! 黒い羽根と青い羽根の設定はナイス! でも普通の人は白い羽根だという事をちゃんと説明して欲しかった。回想シーンがベタもトーンもなくてわからなかったから、ちゃんと入れた方がいいよ!

■畑健二郎先生
よく描けていました。しかし火事で両方塞がれた場所に主人公はどうやって助けに来たのかなど気になりました。心理描写がメインとなる少女漫画なら、うまくスルーしつつ成立すると思うのですが気になりました。

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「ミーちゃんと絵日記」ほりきげんき(28歳・東京都)

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■あだち充先生
この絵とこのキャラで成り立ってる世界なので審査員としてはツッコミどころがむずかしいのですが、とりあえず、このコンビの第2話が載っていたら読みたくなると思います。

■高橋留美子先生
セリフのテンポが良く、キャラクターも強烈で、すごく面白かったです。

■青山剛昌先生
スゲー面白かった!! テンポもいいしギャグも超笑えるし。しかも、ラストでまさかのシンミリさせるシーンがくるとは… 完璧です(笑)。

■畑健二郎先生
ストーリー漫画、コメディーとして読んだ時、キャラの好感度、シナリオ、共にバランスが良く、特にキャラクターの人間味を生かしたストーリーは良くできていたと思います。しかし、画力が圧倒的に足りない。

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「冷たい檻の中から」阪口孟司(26歳・北海道)

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■あだち充先生
かなりあぶない設定ですが、絵の上手さもかなりなもんです。登場するキャラクターもそれぞれ魅力的でバカバカしくも楽しい作品です。かなりあぶない設定ですが…

■高橋留美子先生
ロリコンネタは好き嫌いが分かれると思うのですが。画力、構成力ともにちゃんと出来ているので、「自分はこのネタでいきたい」と思うのであれば迷うことなく頑張ってください。

■青山剛昌先生
絵は上手いんだけど話が支離滅裂すぎて何がなんだかさっぱりわからなかった…(笑) 主人公にもヒロインにも全く感情移入できないし… でもアクションシーンは上手かったので次回作に期待です!

■畑健二郎先生
キャラクターの絵は結構、魅力的に描けていたと思います。構図にも凝っており、キャラクターもぶっ飛んでいて良かったです。ただ、今何が起こっているのかよく読まないとわからない部分も多かったです。

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「トヨトミゴールドマイン」藤田三司(22歳・奈良県)

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■あだち充先生
話はナゾ解き漫画として上手くまとまってると思いますが、絵に関しては構図も含め、人物、背景をもう少していねいに描いて下さい。読者の想像力を刺激するためにも…

■高橋留美子先生
このテのネタを「読ませる」というのは結構むつかしいと思うのですが、ちゃんと構成されていました。キャラ同士の出会いや謎解きに多少強引さを感じましたが、話としてまとまっていたと思います。

■青山剛昌先生
うーん…話も謎解きもよくわからなかった。せっかく豊臣秀頼がのりうつっているんだから、もっとそれっぽい行動をさせた方がよかったかも。言葉遣いとか…ラストの告白シーンも全くピンと来なかった(笑)。

■畑健二郎先生
総合力という点では、今回一番まとまっていたと思います。課題としてはキャラクターを動かすだけでなく『どう動かせば魅力的に見えるのか』という部分まで考えて描ければもう一段成長できるかなと思います。

この作品を読む

「四里たい子は全部知りたい!!」小野寺こころ(17歳・京都府)

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■あだち充先生
古いのか新しいのかわからない不思議な絵で不思議なキャラクター達をていねいに描いていて温かな気持ちにさせてくれます。何より驚きなのは作者が17歳だという事。

■高橋留美子先生
セリフが面白く、最後まで楽しんで読めました。作者がしっかりキャラクターと対話できているからかなと思います。コマはこび、アクセントのつけ方もうまいです。

■青山剛昌先生
やりたい事はわかるんだけど突然、「知らない事が多すぎて全知の神になりたい」は設定にかなり無理がある。人間じゃなくロボットとか宇宙人とかなら、わかるけど… なので全く話にのれなかった…

■畑健二郎先生
主人公の女の子は、ともすれば嫌われるタイプなので、この子だけだと好き嫌いは分かれしまうと感じました。しかし、ヒロインのマイナス部分を好感度の高い男の子がフォローするという構成はバランスがとてもいい。

この作品を読む

「王たる所以」イマイ悠(19歳・福岡県)

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■あだち充先生
冒頭、もう少し王の残虐さを描いてから話を展開させた方がよかった気がします。しかし、絵にも話にもアチコチ才能が見え隠れして先が楽しみな人です。

■高橋留美子先生
王様が結構早めに迷うんで、話全体がブレている感じです。エピソードの配分を工夫してください。

■青山剛昌先生
正直、よく分からなかった。絵はめちゃめちゃ上手いんだけど、子供が急に魔王のアジトの中にいた理由もわからんし、魔王の顔が最初から優しくなりそうな顔なので意外な展開が全くなかった!

■畑健二郎先生
年齢を考えてもキャラクターの絵はかなり良かったと思います。シナリオもよくまとめていたと思います。お話に関しては後半の描きたい心象風景が先にあって、それに合わせ前半の辻褄を合わせた感じがあり、軽い。

少女・女性部門

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「シエナのねがいごと」岬かいり(23歳・岐阜県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
登場人物がみんな魅力的で可愛らしかったです。言動で主人公の可愛らしさが伝わってきます。キャラの感情の流れにも無理がなく自然でした。人物の立ち位置や構図も、わかりやすく見せようとする意欲が感じられました。

■藤沢志月先生
明るい前向きなお話で、読んでいてとても元気が出ました。主人公がドジなりに一生懸命で、思わず応援したくなりました。とても可愛い絵柄なので、デッサン力などがさらに上がればもっと良くなると思います。

■まいた菜穂先生
ドジな主人公の失敗が可愛くてずっと見ていたかったです。主人公の気持ちを丁寧に追っていて、心理描写がうまいなと思いました。登場人物がみんな優しくて、読後感が良かったです。あとは、たくさん描いて絵の上達を。

■水波風南先生
可愛い絵柄が魅力的。空を飛ぶシーンも、背景を工夫することによりアニメを見ているような爽快感を得ることができて素晴らしいと思います。扉絵からはこのクオリティを予測できなかったので、少しもったいないです。

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「ようこそマジカール学園へ!」赤咲すみれ(22歳・滋賀県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
架空の世界の設定をしっかり作り込んでいるのは素晴らしいです。ただ、エピソードは詰め込みすぎの感があります。もう少し端折って、テーマをどれか1つに絞って描くと、まとまりが出て面白さが増すと思います。

■藤沢志月先生
小物や動物もとても上手で、ファンタジーの世界にすんなり入っていけました。物語の構成も王道で大変気持ち良かったです。ライバルも素直でいい子だったので、明るい気持ちでお話を読み終えることができました。

■まいた菜穂先生
主人公のコロコロ変わる表情が可愛かったです。魔法の世界を作者が楽しく描いているのが伝わりました。ただ、全てを言葉で説明しすぎていたのが残念です。限られたページ数なので、伝えたいことを整理してほしいです。

■水波風南先生
キャラや小物使いが可愛く、扉絵だけで力量を感じます。魔法の説明もわかりやすく、すんなり物語に入っていけます。エピソードも盛りだくさんで感心する反面、内容を絞って大胆なコマが入るとなお良かったと思います。

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「シェア」竹河継(37歳・東京都)特別育成金

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■尾崎衣良先生
テーマは非常に面白いのですが、3人のキャラの掘り下げがいずれも不十分なまま終わってしまったのがとても惜しいです。でも、雰囲気があって読者を引き込むセンスはあると思うので、今後の作品も楽しみです。

■藤沢志月先生
キャラに色気があって、とてもいいと思います。ただ、主人公たちは社会人だと思って読み始めてしまい、高校生活のシーンで一瞬混乱しました。読者がスムーズに読むための視覚的情報を、自然に入れ込むと良いと思います。

■まいた菜穂先生
奇妙な3人の関係が面白かったです。どのキャラクターにも感情移入できないのに、先が読めない展開とドキッとする表情で最後まで楽しく読めました。

■水波風南先生
新しい世界観をとてもこなれたタッチで見せてもらいました。構図や間の取り方に独特のセンスがあり、一般的ではないキャラの世界観でもすんなり読めました。ただ、設定を大学生や社会人にしたほうがリアルだと思います。

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「摂氏820℃でキスして」雪嶌シウリ(19歳・滋賀県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
タバコに絡めて、ちょっとひねくれた女の子が相手を好きになっていく過程が自然に描けています。ただ状況がわかりにくい箇所が。誰のセリフかを明確にしたり、人物の立ち位置や状況が絵でわかるように描きましょう。

■藤沢志月先生
可愛い絵柄で、主人公と同じ気持ちになって興味をひかれました。ただ、主人公が相手役を好きになるまでの気持ちの流れが弱かったかなと感じます。背景はいろんな角度から描かれていてとても良いと思います。

■まいた菜穂先生
セリフのテンポが良く、今らしい言い回しで読んでいて楽しかったです。大事なシーンをセリフだけに頼らず、キャラの動きで見せようとしているのが良かったのですが、少し動きがわかりにくかったです。

■水波風南先生
男の子のキャラがしっかりしていて、タバコを吸う理由など主人公が惹かれていく過程に共感できます。高校生の飲酒・喫煙モノは、教師にばれるかどうかのドタバタ展開になりがちですが、まとまっていてセンスを感じます。

青年部門

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「わるいのさがし」雪由宇(愛知県)

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■花沢健吾先生
ラストページが唐突で、ページ抜けがあるのかと確認してしまった。読者は読みづらい作品を読み飛ばします。自分の中に客観視できる読者を作りましょう。

■太田垣康男先生
これからクライマックス、という前に終わってしまったので、起承転結の転と結が無い。これは初歩的なミスです。絵は非常に可愛いし、人物の表情や仕草も上手く描けているだけにもったいない。

■浅野いにお先生
人物の顔の描きに癖を感じましたが、話はシンプルで読みやすかったです。ただ、「突然悪魔がやってきて」という展開は新人作家がよく使う安易なものであるので、表現にもっと工夫は必要かと思います。いじめられている弟側の「慈悲を失った恨みこそが悪魔そのものである」という落としどころは良いと思います。しかし、最終29 ページから30 ページにかけての流れが説明不足で、状況を理解するのに時間がかかりました。バストアップばかり多用せず、引きの絵を見せることでキャラの立ち位置や状況を絵で説明できるように心がけてください。

■石塚真一先生
作者の伝えたいテーマが独自の発想力によって効率良く展開された作品です。キャラクターの描き分けもできる作者だと思うので、もう少しキャラクターに作品の進む方向を託しても良いかもしれません。

■業田良家先生
絵が巧い。登場人物もかわいいし、キャラクターの描写もちゃんと行動で示していて分かりやすい。オチのアイデアも意外性があっていい。人物の動きが柔らかくて的確なので、読んでいて心地よかった。

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「面接」門司圭一(32歳・東京都)

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■花沢健吾先生
絵はすっとぼけていて良いが、肝心の笑いが笑えない。お父さんの見た目の造形では笑えない。もっと、日常の中に秘めた繊細な目線を養い、笑いにつなげられると良いです。

■太田垣康男先生
コントの台本としては面白く読めた。しかしながら、演者、キャラクターの絵にコメディアンとしての技量が足りない。演技や演出を学んで、もっとマンガに緩急をつけてほしい。終始、淡々と進むネタだからこそ、緩急がないと読者は退屈になる。

■浅野いにお先生
短いページ数でまとまっているとは思います。この作品のスタイルはシチュエーションコントなので、これまでに散々使い古されたもので新鮮さはありません。絵柄は淡々としていて高い汎用性を感じましたので、もっとセリフを推敲して新規性を持たせてほしいです。この手の作品は、会話が命だと思うので、イマドキのノリを再現するだけではなく、一歩二歩、時代を先取りして新しい面白さを追求してください。

■石塚真一先生
作者独特の空気感とテンポで、小気味よくページを読み進められました。いかようにも展開できる会話力が作者の強さだと思います。反面、いかようにもなる自由さに、どんな話の軸を置くかが課題になるかと思います。

■業田良家先生
大いに笑わせてもらった。セリフの一つ一つに笑いのセンスを感じた。マンガでも十分面白いのだが、このセンスは漫才やコントの台本に使えばもっと生きると思う。マンガなので、次作は登場人物に動きのある作品を作ってほしい。

奨励金

選外の作品の中から有望作に10万円を授与

児童部門

「白化け使い」のだみさき(28歳・岐阜県)

少女・女性部門

「sweet tear」咲真らふ(15歳・岩手県)

「まっすぐを君に伝えたい!」夕日空子(神奈川県)

青年部門

「黙秘」稗田聡史(21歳・北海道)

「すすめ!オトメ道」斉藤ヒノ(24歳・大阪府)

「ペペのカルテ」下田光樹(25歳・東京都)

大賞※該当者なし

児童部門

佳作

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「ダンディ・エッグ」高尾ひでおみ(22歳・愛知県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
全体的に「これから」という印象ですが、一生懸命面白いものを描こうとしている感じは伝わってきます。主人公は、もっと読者を意識したキャラ作りを心がけましょう。

■沢田ユキオ先生
ダンディ・エッグと平凡太のボケ・ツッコミが明確で、オシャレでエレガントなネタも素直に笑えました。テンポや間もいい! ラストは力ずくで笑わされた気がします。

■のむらしんぼ先生
導入部のリズムとテンポが、すごくいい。普通の発想なら、ほかのキャラを加えますが、「たった二人だけ」の掛け合い。シンプルでわかりやすく、ギャグもサイコーでした。

■むぎわらしんたろう先生
たまごの主人公は、インパクトがあって、等身大の姿になった時も面白いです。ただ、ギャグやツッコミ、表情のつけ方等、この作者独自の面白さがほしいですね。

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「学校のふしぎくん」くろださや(25歳・広島県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
コロコロでがんばりたいという意気込みを感じますが、主人公がまだキャラクタ?として普通のため弱いです。悪霊になった姿は、迫力がありかっこよく描けています。

■沢田ユキオ先生
全体的にソツなく、うまくまとまっている好編だと思います。絵もとても読みやすいのですが、話は意外性がなく残念です。でも最後のオチは驚きました! 面白い!!

■のむらしんぼ先生
ふしぎくんの登場の仕方や正体など、いい意味で読者を裏切り、わくわく面白く読めました。絵は画面にメリハリや立体感が欠けていて、やや見づらいのが惜しいです。

■むぎわらしんたろう先生
どんな妖怪や怪物が出るのかと期待しましたが、予想通りの展開でした。出てきた悪霊がどういう霊なのか、弱点や好物の理由の説明もあると読者に親切だと思います。

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「DJ小学生シャイニング」プンタ(30歳・埼玉県)特別育成金

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■樫本学ヴ先生
画が上手く、冒頭から期待感がありましたが、その期待を越えるインパクトがなかったのが残念。主人公も個性的なことを売りにしているわりに、普通のキャラでした。

■沢田ユキオ先生
新しいキャラを創ろうとする意欲は、好感が持てますが、主人公は少し無理矢理な設定の感じがします。絵柄は表情がよく味もあるので、絵柄を生かした作品があるはず。

■のむらしんぼ先生
テンポがよくキャラが立っていて、ラストまで面白く読めました。DJ小学生としてのアイデアもキョーレツで、とてもよいです。絵もパワフルで勢いがあって二重丸!

■むぎわらしんたろう先生
DJ小学生というネタは、新しく感じました。主人公とボウズの古瀬井くんとのやりとりが面白い! むしろ、主人公よりも、古瀬井くんのほうが印象に残りました。

少年部門

佳作

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「ドキドキドウキ」由季(21歳・東京都)特別育成金

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■あだち充先生
アイディアの面白さと、話の展開もスムーズです。大ゴマの使い過ぎが気になりますが、絵柄、独特の構図も魅力的で、伸びしろの大きい人だと思います。

■高橋留美子先生
ヒロインの初出が顔ショットだったため、女の子とわからず読み出しでひっかかりました。設定は良いのですがメインの事件の「なにが謎なのか」が伝えきれていないため、せっかくの謎解きの場が生かしきれなかった。

■青山剛昌先生
結構面白かった! キュン死の設定が斬新でよかったし、ミステリーとしてもなかなかよく出来ている。ただ、状況説明とかのセリフが、かなりわかりづらくて何度も読み返さなければ理解できなかった(笑)。

■畑健二郎先生
発展途上ですが絵に華があり、キャラクターも魅力的に見せる力があると思います。しかし読者が一番気になる部分を宙ぶらりんにしたまま、別の話が進行するので興味を持って読み進めるのが難しいと感じました。

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「あなたに幸せを」紺沢ろく(19歳・東京都)特別育成金

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■あだち充先生
強引な設定を上手く料理して学園ドラマに仕上げています。画力はもの足りませんが、好感の持てる絵柄に可能性を感じます。

■高橋留美子先生
素直な話はこびで、翼の設定もスンナリ受け入れられました。キャラクターの気持ちをしっかり追っかけている所も良かったと思います。素直を生かしつつ、さらなる物語展開の意外性など工夫してください。

■青山剛昌先生
面白かった! 黒い羽根と青い羽根の設定はナイス! でも普通の人は白い羽根だという事をちゃんと説明して欲しかった。回想シーンがベタもトーンもなくてわからなかったから、ちゃんと入れた方がいいよ!

■畑健二郎先生
よく描けていました。しかし火事で両方塞がれた場所に主人公はどうやって助けに来たのかなど気になりました。心理描写がメインとなる少女漫画なら、うまくスルーしつつ成立すると思うのですが気になりました。

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「ミーちゃんと絵日記」ほりきげんき(28歳・東京都)

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■あだち充先生
この絵とこのキャラで成り立ってる世界なので審査員としてはツッコミどころがむずかしいのですが、とりあえず、このコンビの第2話が載っていたら読みたくなると思います。

■高橋留美子先生
セリフのテンポが良く、キャラクターも強烈で、すごく面白かったです。

■青山剛昌先生
スゲー面白かった!! テンポもいいしギャグも超笑えるし。しかも、ラストでまさかのシンミリさせるシーンがくるとは… 完璧です(笑)。

■畑健二郎先生
ストーリー漫画、コメディーとして読んだ時、キャラの好感度、シナリオ、共にバランスが良く、特にキャラクターの人間味を生かしたストーリーは良くできていたと思います。しかし、画力が圧倒的に足りない。

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「冷たい檻の中から」阪口孟司(26歳・北海道)

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■あだち充先生
かなりあぶない設定ですが、絵の上手さもかなりなもんです。登場するキャラクターもそれぞれ魅力的でバカバカしくも楽しい作品です。かなりあぶない設定ですが…

■高橋留美子先生
ロリコンネタは好き嫌いが分かれると思うのですが。画力、構成力ともにちゃんと出来ているので、「自分はこのネタでいきたい」と思うのであれば迷うことなく頑張ってください。

■青山剛昌先生
絵は上手いんだけど話が支離滅裂すぎて何がなんだかさっぱりわからなかった…(笑) 主人公にもヒロインにも全く感情移入できないし… でもアクションシーンは上手かったので次回作に期待です!

■畑健二郎先生
キャラクターの絵は結構、魅力的に描けていたと思います。構図にも凝っており、キャラクターもぶっ飛んでいて良かったです。ただ、今何が起こっているのかよく読まないとわからない部分も多かったです。

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「トヨトミゴールドマイン」藤田三司(22歳・奈良県)

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■あだち充先生
話はナゾ解き漫画として上手くまとまってると思いますが、絵に関しては構図も含め、人物、背景をもう少していねいに描いて下さい。読者の想像力を刺激するためにも…

■高橋留美子先生
このテのネタを「読ませる」というのは結構むつかしいと思うのですが、ちゃんと構成されていました。キャラ同士の出会いや謎解きに多少強引さを感じましたが、話としてまとまっていたと思います。

■青山剛昌先生
うーん…話も謎解きもよくわからなかった。せっかく豊臣秀頼がのりうつっているんだから、もっとそれっぽい行動をさせた方がよかったかも。言葉遣いとか…ラストの告白シーンも全くピンと来なかった(笑)。

■畑健二郎先生
総合力という点では、今回一番まとまっていたと思います。課題としてはキャラクターを動かすだけでなく『どう動かせば魅力的に見えるのか』という部分まで考えて描ければもう一段成長できるかなと思います。

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「四里たい子は全部知りたい!!」小野寺こころ(17歳・京都府)

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■あだち充先生
古いのか新しいのかわからない不思議な絵で不思議なキャラクター達をていねいに描いていて温かな気持ちにさせてくれます。何より驚きなのは作者が17歳だという事。

■高橋留美子先生
セリフが面白く、最後まで楽しんで読めました。作者がしっかりキャラクターと対話できているからかなと思います。コマはこび、アクセントのつけ方もうまいです。

■青山剛昌先生
やりたい事はわかるんだけど突然、「知らない事が多すぎて全知の神になりたい」は設定にかなり無理がある。人間じゃなくロボットとか宇宙人とかなら、わかるけど… なので全く話にのれなかった…

■畑健二郎先生
主人公の女の子は、ともすれば嫌われるタイプなので、この子だけだと好き嫌いは分かれしまうと感じました。しかし、ヒロインのマイナス部分を好感度の高い男の子がフォローするという構成はバランスがとてもいい。

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「王たる所以」イマイ悠(19歳・福岡県)

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■あだち充先生
冒頭、もう少し王の残虐さを描いてから話を展開させた方がよかった気がします。しかし、絵にも話にもアチコチ才能が見え隠れして先が楽しみな人です。

■高橋留美子先生
王様が結構早めに迷うんで、話全体がブレている感じです。エピソードの配分を工夫してください。

■青山剛昌先生
正直、よく分からなかった。絵はめちゃめちゃ上手いんだけど、子供が急に魔王のアジトの中にいた理由もわからんし、魔王の顔が最初から優しくなりそうな顔なので意外な展開が全くなかった!

■畑健二郎先生
年齢を考えてもキャラクターの絵はかなり良かったと思います。シナリオもよくまとめていたと思います。お話に関しては後半の描きたい心象風景が先にあって、それに合わせ前半の辻褄を合わせた感じがあり、軽い。

少女・女性部門

佳作

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「シエナのねがいごと」岬かいり(23歳・岐阜県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
登場人物がみんな魅力的で可愛らしかったです。言動で主人公の可愛らしさが伝わってきます。キャラの感情の流れにも無理がなく自然でした。人物の立ち位置や構図も、わかりやすく見せようとする意欲が感じられました。

■藤沢志月先生
明るい前向きなお話で、読んでいてとても元気が出ました。主人公がドジなりに一生懸命で、思わず応援したくなりました。とても可愛い絵柄なので、デッサン力などがさらに上がればもっと良くなると思います。

■まいた菜穂先生
ドジな主人公の失敗が可愛くてずっと見ていたかったです。主人公の気持ちを丁寧に追っていて、心理描写がうまいなと思いました。登場人物がみんな優しくて、読後感が良かったです。あとは、たくさん描いて絵の上達を。

■水波風南先生
可愛い絵柄が魅力的。空を飛ぶシーンも、背景を工夫することによりアニメを見ているような爽快感を得ることができて素晴らしいと思います。扉絵からはこのクオリティを予測できなかったので、少しもったいないです。

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「ようこそマジカール学園へ!」赤咲すみれ(22歳・滋賀県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
架空の世界の設定をしっかり作り込んでいるのは素晴らしいです。ただ、エピソードは詰め込みすぎの感があります。もう少し端折って、テーマをどれか1つに絞って描くと、まとまりが出て面白さが増すと思います。

■藤沢志月先生
小物や動物もとても上手で、ファンタジーの世界にすんなり入っていけました。物語の構成も王道で大変気持ち良かったです。ライバルも素直でいい子だったので、明るい気持ちでお話を読み終えることができました。

■まいた菜穂先生
主人公のコロコロ変わる表情が可愛かったです。魔法の世界を作者が楽しく描いているのが伝わりました。ただ、全てを言葉で説明しすぎていたのが残念です。限られたページ数なので、伝えたいことを整理してほしいです。

■水波風南先生
キャラや小物使いが可愛く、扉絵だけで力量を感じます。魔法の説明もわかりやすく、すんなり物語に入っていけます。エピソードも盛りだくさんで感心する反面、内容を絞って大胆なコマが入るとなお良かったと思います。

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「シェア」竹河継(37歳・東京都)特別育成金

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■尾崎衣良先生
テーマは非常に面白いのですが、3人のキャラの掘り下げがいずれも不十分なまま終わってしまったのがとても惜しいです。でも、雰囲気があって読者を引き込むセンスはあると思うので、今後の作品も楽しみです。

■藤沢志月先生
キャラに色気があって、とてもいいと思います。ただ、主人公たちは社会人だと思って読み始めてしまい、高校生活のシーンで一瞬混乱しました。読者がスムーズに読むための視覚的情報を、自然に入れ込むと良いと思います。

■まいた菜穂先生
奇妙な3人の関係が面白かったです。どのキャラクターにも感情移入できないのに、先が読めない展開とドキッとする表情で最後まで楽しく読めました。

■水波風南先生
新しい世界観をとてもこなれたタッチで見せてもらいました。構図や間の取り方に独特のセンスがあり、一般的ではないキャラの世界観でもすんなり読めました。ただ、設定を大学生や社会人にしたほうがリアルだと思います。

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「摂氏820℃でキスして」雪嶌シウリ(19歳・滋賀県)特別育成金

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■尾崎衣良先生
タバコに絡めて、ちょっとひねくれた女の子が相手を好きになっていく過程が自然に描けています。ただ状況がわかりにくい箇所が。誰のセリフかを明確にしたり、人物の立ち位置や状況が絵でわかるように描きましょう。

■藤沢志月先生
可愛い絵柄で、主人公と同じ気持ちになって興味をひかれました。ただ、主人公が相手役を好きになるまでの気持ちの流れが弱かったかなと感じます。背景はいろんな角度から描かれていてとても良いと思います。

■まいた菜穂先生
セリフのテンポが良く、今らしい言い回しで読んでいて楽しかったです。大事なシーンをセリフだけに頼らず、キャラの動きで見せようとしているのが良かったのですが、少し動きがわかりにくかったです。

■水波風南先生
男の子のキャラがしっかりしていて、タバコを吸う理由など主人公が惹かれていく過程に共感できます。高校生の飲酒・喫煙モノは、教師にばれるかどうかのドタバタ展開になりがちですが、まとまっていてセンスを感じます。

青年部門

入選

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「メタモルフォーシ人」うすくらふみ(39歳・東京都)特別育成金

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■花沢健吾先生
この作品も素晴らしかったです。キャラにも魅力があり、物語も予想外の方向に流れつつも心地よい着地があります。この作品でシリーズ化も良いですし、違う作品も読んでみたい。期待しています。

■太田垣康男先生
主人公は何か努力をしただろうか? 何かご褒美をもらえるような善行を積んだだろうか?主人公が奇妙な状況を安易に受け入れる流れもご都合主義だ。宝くじに当たる幸運を描くより、自力で幸運をつかみ取る主人公を私は見たい。

■浅野いにお先生
絵柄や構成など、マンガを作る上での基本的な技量は十分で、読んでいて全くストレスを感じませんでした。これはとても重要なことです。読みやすさや視線誘導、物語の緩急など、読者にどう読ませるかの配慮が感じられるのも好印象でした。ストーリーに関しては、すこぶる地味ですが、キャラクターの所作が地に足がついている印象なので、突飛な設定にも関わらず無理がなく、自然と主人公の「本当の姿」に興味がわきます。その「本当の姿」も、これまた地味なものでしたが、それがゆえに全く予想できないもので、でもどこか説得力はあるという絶妙な落としどころで面白かったです。

■石塚真一先生
絵から、作者特有のキャラに対する愛情(のようなもの)を感じました。コマ割りと構図も確立されたものがあり、読みやすかった。予想を越える大胆な話の進め方ができる作者です。

■業田良家先生
人間も幼虫から成虫に変態するという荒唐無稽なアイデアにすんなりと納得させられて楽しく読めた。そこに作者の力量を感じる。どんなテーマでも幅広く描くことのできる絵柄だし、多くの人に受け入れられる絵だと思う。最後のヘビー級のボクサーというオチも意外性があってすごく良かった。しかもラスベガス!

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「インタレスト」ツジコマコ(42歳・東京都)特別育成金

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■花沢健吾先生
非常に良かった。絵も魅力的で、物語もよくある宇宙人との交流モノを超えていた。この目線を大事にしてプロの道に進んでほしい。

■太田垣康男先生
主人公の表情の変化や絵の可愛らしさには好感が持てる。しかし、ヒロインと過ごす時間やエピソードが表層的でアイデアの練り込みが無い。設定の説明にページを使うのは最小限に。日常の中で彼女とどんなデートをして、どんな忘れられない思い出を作るかを描くほうが何倍も重要。

■浅野いにお先生
肩の力が抜けた良い雰囲気の作品でした。ほうぼうの作家からの影響を感じますが、現状それ以上の個性はあまり感じられません。品が良く、無難にまとまってしまっている印象もあるので、もっとアクを残してもいいのかもしれません。しかし、無気力な主人公がラストで明確に一歩前進するというのはメッセージとしては非常にシンプルで力強く、雰囲気マンガだけではとどまらない気持ち良さがありました。

■石塚真一先生
読みやすく、楽しく、温かい雰囲気に包まれた作品です。キャラの気持ちを丁寧に追えているからでしょうか、キャラクターのどの表情も、とても自然で抜群の存在感がありました。

■業田良家先生
宇宙人で「興味研究者」という設定が面白い。深いテーマを含ませることもできるし、楽しい話に仕上げることもできそうだ。最後の締めは、主人公の決意で終わるのではなく、ちゃんと行動を起こさせてほしい。主人公が行動で示さないと、マンガは面白くならないので。

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「ピカレスク」秋川星(29歳・東京都)

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■花沢健吾先生
絵は好感が持て、物語も予想外の方向に流れていくので飽きさせない。実力はあるので、もっとキャラに魅力を出せると記憶に残る作品になると思います。表紙が、物語との関連が見えてこなくて損をしている。

■太田垣康男先生
物語は荒削りだが、胸に迫るものがあった。いや、正直感動した。人物の演技も巧みで情感があり、画面構成、コマ割り等にも非凡な才能を感じる。何より、台詞回し、言葉の響きがとても良かった!一片の詩や歌を感じる瑞々しいマンガなんてなかなか出会えない! 素晴らしかった!

■浅野いにお先生
ページ単位の絵の密度が絶妙で、今回の応募作の中では圧倒的に好みです。絵柄が安定していて、一コマ単位のイラストとしてみれば構図も良いです。しかし、フキダシに頼りすぎで、マンガとしては読みづらい箇所が多かったです。誰がしゃべっているセリフなのかが確実に分かるようにしてください。ストーリーに関しては正直、ご都合展開&盛り込みすぎです。せっかくの壮大な設定も消化しきれてない感があり、もったいないです。キャラが魅力的に描けているのですから、人物の描写に焦点を絞って、たわいのない話でもマンガとして成立させられる力量はあるはずです。決められたページ数から逆算して話を調整するのも技術です。今回の応募作のような規模のお話は、連載マンガでじっくり手間とページをかけて表現してください。

■石塚真一先生
作者が創った世界観には説得力があります。おそらく「本気」で描いているからだと思います。絵の表現も、世界観とマッチングしています。理由は置いておいても「なんか好きだな。」と思えた作品でした。

■業田良家先生
素晴らしい作品です。人物描写も、背景も、コマ割りも、トーンの使い方さえも巧い。人工知能や、科学技術に対する期待や恐れが効果的に表現されている。そして作者の祈りのような思いも伝わってきた。傑作だと思います。

佳作

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「わるいのさがし」雪由宇(愛知県)

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■花沢健吾先生
ラストページが唐突で、ページ抜けがあるのかと確認してしまった。読者は読みづらい作品を読み飛ばします。自分の中に客観視できる読者を作りましょう。

■太田垣康男先生
これからクライマックス、という前に終わってしまったので、起承転結の転と結が無い。これは初歩的なミスです。絵は非常に可愛いし、人物の表情や仕草も上手く描けているだけにもったいない。

■浅野いにお先生
人物の顔の描きに癖を感じましたが、話はシンプルで読みやすかったです。ただ、「突然悪魔がやってきて」という展開は新人作家がよく使う安易なものであるので、表現にもっと工夫は必要かと思います。いじめられている弟側の「慈悲を失った恨みこそが悪魔そのものである」という落としどころは良いと思います。しかし、最終29 ページから30 ページにかけての流れが説明不足で、状況を理解するのに時間がかかりました。バストアップばかり多用せず、引きの絵を見せることでキャラの立ち位置や状況を絵で説明できるように心がけてください。

■石塚真一先生
作者の伝えたいテーマが独自の発想力によって効率良く展開された作品です。キャラクターの描き分けもできる作者だと思うので、もう少しキャラクターに作品の進む方向を託しても良いかもしれません。

■業田良家先生
絵が巧い。登場人物もかわいいし、キャラクターの描写もちゃんと行動で示していて分かりやすい。オチのアイデアも意外性があっていい。人物の動きが柔らかくて的確なので、読んでいて心地よかった。

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「面接」門司圭一(32歳・東京都)

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■花沢健吾先生
絵はすっとぼけていて良いが、肝心の笑いが笑えない。お父さんの見た目の造形では笑えない。もっと、日常の中に秘めた繊細な目線を養い、笑いにつなげられると良いです。

■太田垣康男先生
コントの台本としては面白く読めた。しかしながら、演者、キャラクターの絵にコメディアンとしての技量が足りない。演技や演出を学んで、もっとマンガに緩急をつけてほしい。終始、淡々と進むネタだからこそ、緩急がないと読者は退屈になる。

■浅野いにお先生
短いページ数でまとまっているとは思います。この作品のスタイルはシチュエーションコントなので、これまでに散々使い古されたもので新鮮さはありません。絵柄は淡々としていて高い汎用性を感じましたので、もっとセリフを推敲して新規性を持たせてほしいです。この手の作品は、会話が命だと思うので、イマドキのノリを再現するだけではなく、一歩二歩、時代を先取りして新しい面白さを追求してください。

■石塚真一先生
作者独特の空気感とテンポで、小気味よくページを読み進められました。いかようにも展開できる会話力が作者の強さだと思います。反面、いかようにもなる自由さに、どんな話の軸を置くかが課題になるかと思います。

■業田良家先生
大いに笑わせてもらった。セリフの一つ一つに笑いのセンスを感じた。マンガでも十分面白いのだが、このセンスは漫才やコントの台本に使えばもっと生きると思う。マンガなので、次作は登場人物に動きのある作品を作ってほしい。

※大賞該当作はありませんでした。したがって、児童部門は佳作の3作品に、少年部門は佳作のうち2作品に、少女・女性部門は佳作の4作品に、青年部門は入選のうち2作品に、特別育成金100万円が各々等分で授与されます。


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