ストーリー編
ストーリー作りの4つの柱
面白いストーリーは4つの柱がしっかりしている
あなたが、あるまんがを読んで面白いと感じたとします。
いったい何が面白かったのでしょう?
「主人公がとても魅力的だった。私もこんな人になれたらなあと思った」 「読後感がすごく良かった。気持ちが晴れ晴れした」 「あっと驚く展開で、今まで見たことのない新鮮なまんがだった」などなど…
面白いと思う理由はさまざまだと思いますが、必ず共通する要因があります。
それは、
『テーマ』
『キャッチ』
『キャラクター』
『エピソード』
の4つがしっかりとしていて、しかもそれぞれが魅力的であることです。ではそれぞれについて紹介しましょう。
『テーマ』…このまんがで何を伝えたいのか?
まんがの核や幹であり、骨格のようなものです。
その作品全体に流れている音色といってもいいかもしれません。
あなたがまんがに込めたい想いやメッセージもこれにあたります。
たとえば、『友情』とか『大人への階段・成長』とか『恐怖』、『癒し』、『痛快』…といった簡潔な言葉で表現されます。
テーマ自体は新しい概念や考えである必要はなく、人間の感情に根ざした普遍的なものであることが多いようです。また複数のテーマが共存してもOKです。
ただし、一度決めたテーマはぶれてはなりません。太い幹のようにしっかりしていることが大切です。
最初は『熱い友情』だったが、最後は『恐怖・ホラー』になってしまった…なんてことのないように。
テーマがしっかりしていると、読後感が違います。
『キャッチ』…このまんがのウリは何か?
このまんがは他のまんがと、ここが違う、ここがすごいんだ!とアピールするものです。広告などで、その商品の魅力を伝える短い文章(キャッチコピー)と同じです。
テーマと混同されがちですが、テーマが古典的・普遍的であってもよいのに対し、キャッチは明確に「新鮮さ」、「オリジナリティー」、「他との差別化」が要求されます。
たとえば、『1ページで必ず2度笑う!新感覚ぬいぐるみギャグ!』とか『子供なのに先生?学園下克上ラブコメディー』など(例がいいかどうかは別ですが…)、これは面白そうだ! と興味をもってもらえる内容を明確にしたものです。
むろん奇抜だからいいというわけではありませんし、ここであまり高いハードルを作ると、結局表現できずに中途半端なまんがになってしまうことも多いので注意。
『キャラクター』…登場人物は魅力的か?
いうまでもなく、そのまんがの魅力を左右するのがキャラクター(登場人物)です。どんな姿形なのか?性格は?趣味は?口癖は?好きな物は?苦手な物は?生い立ちは?…などビジュアルや特徴をイメージしながら具体的に設定します。
プロの作家さんのアイデアノートには、思い通りのキャラクターにたどりつくまでラフスケッチを何十枚、ときには何百枚も描いた苦闘の跡が見られます。
それだけキャラクター作りには悩むわけです。もちろん主人公やヒロインだけでなく、脇役などのサブキャラまでイメージします。
基本的にはテーマやキャッチを考えてから設定しますが、関係なく普段から「こんなキャラがいたらいい」とか「いつかこんな主人公をまんがに登場させたい」キャラクターをノートなどに描きためておくと、メインキャラじゃなくサブキャラに使えそうなキャラを発見したり、重宝します。
『エピソード』…何が起きるのか?何をするのか?
文章でいう段落のようなものにあたります。たとえば「学校が突然、何者かに乗っ取られる」「主人公だけがトイレにいたために難をのがれる」「主人公の学校奪回作戦が始まる」…etc ストーリーはこれらエピソードの流れと積み重ねで成り立ちます。
主人公がどんな子なのか? かっこいいのか? 楽しいやつなのか? これもエピソードをどう表現するかにかかっています。キャラクターの魅力を引き出すのもエピソード次第なのです。
32ページの読み切りまんがでは、そんなにたくさんのエピソードは入りませんので、重要度や面白さによって、ページをとるものとさらっと数コマでながすもの、そしてばっさりカットするものなどの重みづけをするのが普通です。
これら4つの柱がストーリーを構成しています。
どの柱が重要ということではなく、どれもが大切であり、またそれぞれが影響を及ぼし合う関係です。
いくらキャラクターを魅力的に設定したとしても、それを生かすエピソードが作れないと、読者に伝わりません。
またキャラクターはテーマにその行動原理が縛られますし、キャッチをうまく表現できないと、キャラクターもエピソードも死んでしまいます。
ストーリーを考える場合は、まずこの4つが明確か?面白いか?を吟味してください。
これがしっかりしていれば、面白いまんがとしての土台は万全です。
サンプルまんが作成 ©十神 真